「モノが売れない時代になった」と言われて久しい。しかし、それでも常に行列の絶えないお店があり、成長し続ける会社があり、結果を出し続けるビジネスパーソンがいる。商品の「値段」や「質」がほとんど変わらなくても、売れる人と売れない人、繁盛しているお店とそうでないお店がある。
これは、なぜなのか?
本連載では、プルデンシャル生命2000人中1位の成績をおさめ「伝説のトップ営業」と呼ばれる川田修氏が、あらゆる仕事に通ずる「リピート」と「紹介」を生む法則を解き明かした話題の新刊『だから、また行きたくなる。』から、「序章」の全部を特別掲載する。(構成:今野良介)
少しだけ違う「何か」に気づきますか?
これからお見せする5枚の写真に、あなたはどのような印象を持たれるでしょうか。
「へえ、なるほど」と感心されるでしょうか。
「わかる!すごい!」と共感していただけるでしょうか。
「で、それが何?」と疑問に思われるでしょうか。
素直な心で、ご覧になってみてください。
まずは、岡山県にある、とある料亭のひとコマです。多くの人が、大切なお客さまをおもてなしするときにお連れする、地元企業の間で評判のお店だそうです。
写っているのは、飲みさしのビール瓶を入れておく「受け皿」。そこに、松の葉が入っています。
ビジネスホテル、シティホテル、高級ホテル。ホテルのグレードにかかわらず、客室に体重計が置かれていることがあります。
ある老舗ホテルに宿泊したときも、やはり部屋に体重計がありました。しかし、ほかのホテルとは少しだけ違っていました。
私には、アシスタントをお願いしている女性が2人います。その1人の誕生日が近づき、プレゼントを贈ろうと百貨店に電話注文しました。電話口で女性へのプレゼントであることを伝え、小さな瓶に入った、バスオイルのセットを注文しました。
ほどなくして、商品が届きました。プレゼントだけでなく、同梱されていた紙の手提げ袋にも緩衝材が巻かれていました。
ある年の冬、ギックリ腰をやってしまい、治療院に行ったときのことです。器具や薬を使わない独特の手法で全身をやさしくマッサージしていただいて、痛みはすっかり軽くなりました。
治療が終わり、帰宅しようとしたときのことです。下駄箱を見ると、小さな毛布のようなものが、自分の靴にかけられていました。
私のお客さまの経営者から、本社が移転するというお知らせをいただきました。私と同じ「川田姓」ということもあり、とても親近感を覚えている社長です。
移転のお祝いに花を贈ると、後日、お礼状をいただきました。そのお礼状には、私が贈った花の写真が添えられていました。
あなたは、5枚の写真を見て、どのようなことを感じましたか?
なぜ、ビール瓶の受け皿に松の葉が入っていたのか?
なぜ、体重計にカバーがかけられていたのか?
なぜ、プレゼントだけでなく、手提げ袋にも緩衝材が巻かれていたのか?
なぜ、下駄箱の靴に毛布がかけられていたのか?
なぜ、お礼状に、贈った花の写真が添えられていたのか?
もっと仕事で成長したい。もっと売上を伸ばしたい。
もっとお客さまに喜ばれるサービスをしたい。もっといい会社にしたい—。
もしあなたがそう願っているのなら、そのヒントが、この5枚の写真にあります。
5枚の写真は、いずれも私が「すごい!」と思って撮影したものです。
私は、どこに心を動かされたのか。まずは、その理由からお伝えします。