なお、銀行に資産を集約しても、そこで銀行の勧める商品を購入してはいけないこと、1000万円を超える預金を持ってはいけないことの2点が重要であり、生活用の預金以外は、全て個人向け国債変動金利型10年満期で運用する。銀行の窓口で購入していい唯一の運用商品だ。

 取引金融機関を変えたくない場合(現実的には多いだろう)、次善の策は、

(1)生活費以外の資産を全て前記の個人向け国債に入れて
(2)自分から部分的に解約する以外の取引はしないこと
(3)営業勧誘は不要であること

 以上3つの意思を銀行なり、証券会社なりの支店に明確に伝えておくことだ。

 実は、先年、筆者は北海道在住の母(80代)と共に、母と取引がある証券会社の支店を訪ねて、資産の大半を個人向け国債にして、一部をインデックスファンドにする取引を指示すると共に、取引担当者とその上司に「母はもう高齢であり、これら以外の運用のニーズは全くないし、新しい金融商品を理解する必要もないので、今後一切運用商品の勧誘をしないことを確約してほしい」と話をしに行った。

 母は、生前の父が取引していた証券会社との取り引きを続けることを望んだし、高齢になると、別の証券会社に口座を開いて資産を移換するのはかなり面倒なので、この形を取った。幸い、取引担当者と上司は快諾してくれた(もちろん、手元で相手の名前と言葉をノートに記録したことは言うまでもない)。

 将来、先方の担当者と上司が人事異動してしまった場合に、合意が反故になる可能性があるが、どちらかが支店に残っている間は大丈夫だろう。

後期高齢者が資産を扱う手順

 後期高齢者が金融資産を安心に扱う一般的な手順を、なるべく具体的にまとめておこう。

 ラップ運用、毎月分配型などインデックスファンド以外の投資信託、外国債券、趣味でやっている以外の勧められて買った内外の株式などは、全て解約換金する。ダメな運用商品を買値にこだわらずにスッキリ解約して、シンプルで管理しやすい状態を作ることが肝要だ。

「リスクを取らない運用をする」と思う人の場合、可能なら銀行1行に金融資産を集約する。銀行では、生活費として金融資産から取り崩す額の3~5年程度を普通預金に置いて(残高は1000万円以下が望ましい)、生活費支払いに充てる。残りのお金は全額「個人向け国債変動金利型10年満期」を購入する。銀行が窓口で勧める運用商品は、一切購入してはいけないし、説明自体を聞かないことを守る。