高齢者が金融機関のカモにされずに資産を守る方法Photo:PIXTA

80代夫婦にアドバイス

 筆者は、原則として個人の運用相談を受けていない。しかし、たまたま出版社を通じてもらった拙著の読者からの質問が目に止まり、返信を考えてみる気分になった。相談者が取引している金融機関のやり方がかなりひどいので、「困っている人を知ったのだから、助けるべきだ」と思った。A4の紙で、2枚強のアドバイスを書き送った。

 相談者は、関東在住のご夫婦でお2人とも80歳代である。けがや持病などの影響で、共に健康は万全とはいえない。しかし、相談の文面はしっかりしており、金融取引に必要な判断力は十分あると思われるのだが、むしろそれにつけ込まれて証券会社から営業の勧誘を受けているようだ。例えば、このご夫婦が「豪ドル」の相場など考える必要はないと思うのだが、豪ドルとは何なのかが少し分かるので、セールスに付け込まれているのだろう。

 相談の文面には、運用資産がいくらとは書いていないのだが、いずれも大手銀行に近い関係の証券会社3社と取引をしておられる。現在、数千万円レベルの金融資産をお持ちであると推察した。

 特に「助けるべきだ」と思った理由は、複数の証券会社が「ラップ」での運用を勧めていたからだ。これは、最悪の運用サービスの1つだ。