ビッグデータを自ら「間違えて」学習する。
AIの「水増し学習」まで理解している
アンジェラ芽衣!

大村 では、『マルチナ、永遠のAI。』でAIに興味を持ったアンジェラさんは、今はAIとはどのようなお付き合いをしていますか?

アンジェラ芽衣 これはお話ししましたが、絵を描くとAIがその絵を当てると「QUICK, DRAW!」というサイト。ゲーム感覚なんですが、これが大好きです。お絵描きって女の子が誰もが通る道じゃないですか。そして、私が描いたヒヨコの絵を、みんなは「亀?」と言うんですが(笑)、AIはきちんと「ヒヨコ」って当てるんですよ。

大村 それは、推測ですが、恐らく「水増し学習」ですね。本連載でも、僕は『AIは、ヒトと同じように夢を見るのか?』という記事の中で「水増し学習」について触れているのですが・・・。

アンジェラ芽衣 あ、それって『マルチナ、永遠のAI。』にも出てきますよね。AIがビッグデータ、すなわち教師データをわざと間違えて学習する手法ですよね。画像だったら、あえて切り取ったり、反転させたり。会話だったら、あえて語順を入れ替えたり。そうした学習を積むと、「羽の生えている犬」でも、「羽」はノイズと判断して、「どれだけ犬の特徴と合致するか」を判断するんですよね。

大村 ・・・。滅茶苦茶、詳しいですね。

アンジェラ芽衣 『マルチナ、永遠のAI。』の中で五條堀がそう言ってましたから(笑)。となると、私が描いた「亀にしか見えないヒヨコ」も、私が無意識にヒヨコの特徴を捉えていて、その特徴をもとにAIは「ヒヨコっぽいですね」と答えているわけですね。

大村 僕はそのAIの開発者ではありませんので無責任なことは言えませんが、そのAIはほぼ確実に、わざと間違えたデータで学習する「水増し学習」をしているでしょうね。