一方、雇用については、6月は前年比で+1.5%となっています。雇用と名目賃金をかけ合わせると、前年比で5%程度の所得の伸びとなっていると考えられます。世帯に勤労者がいる消費者は、久しぶりに所得の伸びを実感できる状況になっていると見られます。

 さて、今後の企業活動はどうなるでしょうか?

トランプ大統領の政策に不安は残るが、
ドイツの景況感は改善、日本にも波及か

 経済は引き続き比較的堅調な拡大が続くと見られます。米中が財政政策を積極化しているため、下振れのリスクはかなり低下していると考えられます。リスクは、やはりトランプ大統領の強硬的な通商政策です。ただし、7月末以降、EUやメキシコとの交渉でそれぞれ合意に至るなど、11月の中間選挙へのアピール材料の「刈り取り期」に入ってきている印象があります。まだ、完全に安心はできませんが、今まで以上の悪材料となる可能性は下がってきていると見られます。

 こうなると参考にしたいのがドイツの有力な経済研究機関のIfoが毎月発表している景況感指数(通称、Ifo調査)です。これは、ドイツ経済の先行指標として金融市場ではいつも注目されているもので、このところ米国との貿易摩擦問題を背景に数字が弱含んでいました。ところが、8月27日に発表された8月分のデータは大きく改善しました。これは、米国とEUが7月25日に貿易交渉で合意に至りましたが、これによって企業センチメントが大幅に改善したと見られます。

 日本企業の場合も米国の貿易摩擦問題が最大の懸念材料ですが、具体的には米中協議と米国による自動車への関税の引き上げの2つがあります。これらのいずれもが懸念材料ではなくなる可能性はそれほど高くないと見られますが、片方でも懸念材料でなくなれば、日本企業もドイツ企業のようにセンチメントが改善し、設備投資や賃金・ボーナスの引き上げにより前向きになる可能性があります。

 最後に、アジアのIT需要の先行指標として注目される台湾の輸出受注についてご紹介します。8月20日に発表された7月データは予想を上回り前年比+8%となりました。内訳をみると、電子部品や情報通信機器の需要が強まっています。米国を中心とした通商摩擦が大きく改善しなくても、日本の企業活動を後押しする材料になると見られます。

(三井住友アセットマネジメント 調査部長 渡辺英茂)