化学メーカーにとって、エネルギーと原料は非常に大事なもので、切っても切れない関係だと考えています。天然ガスは、工場などを動かすエネルギーとしても、化学製品の原料としても、生かすことができる。その場合は、自らで資源を持っていることや、資源を自由に扱えるということが、化学メーカーとしてのアドバンテージになる。こうした機能は、固有の競争力の源泉です。

 だからこそ、自ら探鉱や掘削を続けることにより、技術体系を温存しながらブラッシュアップにも取り組んできました。言うなれば、新潟発祥のビジネスモデルを基軸にしてきたことが、後に海外の新興国でプロジェクトを進める際にも生かされている。新興国での経験は、私たちの技術やノウハウを維持することにもなります。今後も、探鉱や掘削を止めるつもりは全くありません。

 しかし、正直に言えば、新潟県の岩船沖油ガス田は減衰が始まっていることから、だんだん資源の回収が難しくなってきている。そこで、14年にカナダのブリティッシュ・コロンビア州で進行中のシェールガス開発・生産プロジェクトや、LNG(液化天然ガス)プロジェクトに参画することにしました。

 権益に応じた収入を得ながら、エネルギーとしても、原料としても、生かす方策を考えていく。もちろん、そこには技術を温存するという狙いはあるが、シェールガスなどの新しい分野でも経験を積みたいという思いもあります。

業績の回復で攻めに転じる
社長の役割は“かき混ぜ役”

――そう言えば、三菱ガス化学は、化学業界で「自社で開発した技術が90%以上」という技術オリエンテッドな企業として知られています。しかし、自前の製法だけに固執して閉じこもっていると、今日のAI(人工知能)やビッグデータを活用するオープンな時代には、弱みに転じるということはないですか。

 いやいや。当社は、確かに技術オリエンテッドな企業であり続けてきたことに対しては誇りに思っていますし、社内の研究者たちにも自負があります。

 この90%以上というのは、全てが社内から出てきたものに限定するという意味ではなく、社内から出てきた技術、社外から取り入れた技術、ベンチャー企業と連携して生まれた技術などを全て咀嚼して、試行錯誤を続けてきた結果、それらの技術を自分たちのものにしてきたということです。社内に閉じているどころか、むしろ逆です。積極的に社外とコラボレーションしながら、新しい解決策を導き出していく方向に舵を切り替えている。