成長企業であればあるほど、
「優秀な社員の獲得」と「人材流出」が悩みの種

 実は、成長過程にある中堅企業にとって最大の悩みは「人」です。もちろん事業自体が苦しいときには、まずは資金繰りということになりますが、一定の成長軌道に乗ってきた企業が何より頭を悩ませるのは、「優秀な社員の獲得」と「人材流出」です。

 起業をすると、その規模の拡大過程で「100人の壁がある」とよくいわれます。社員数100人までは、ヒット商品やサービスが生み出されると、その勢いで社員が一丸となって頑張れます。また、創業時のメンバーとそのネットワークの中で人を集め、同じ志を持つ人材で何とか会社を構成することができる規模です。

 しかし100人の壁を越えてくると、いくら頑張って社員を採用しても、同じだけ辞めていき、なかなか規模を継続的に拡大することが難しくなります。さらに、急激に社員を増やすことで、さまざまな社員が加わることになり、必ずしも創業者の考えをよく知っている人材ばかりではなくなり、能力にもバラつきが出てきます。

 よって、体系的な人材育成の仕組みや、一定の合理性のある人事制度が必要となってくるのも、この規模の特徴なのです。

 特にベンチャー企業や、歴史の浅い中堅企業では、退職率の高さに悩まされます。人数が少ないだけに、優秀なエンジニアやリーダーが退職してしまうと、他の社員も芋づる式に退職してしまい、製品やサービスの急激な品質低下につながることも珍しくありません。

 では、設立から20年が経過し、社員数900人のスタートトゥデイは、「優秀な社員の獲得」と「人材流出の阻止」を実現するために、どのような工夫を行っているのでしょうか。

「ここで働く理由」を生み出すために
スタートトゥデイが実践していることとは?

 採用や人材の定着で重要なことは、「ブランディング」(知ってもらうこと)と「インセンティブ」(この企業で働く理由をつくる)の強化に尽きます。

 自社の「ブランド」を強めるためには、多くの競合の中で、リピート顧客を獲得していくことが有効です。スタートトゥデイの場合、前澤氏の個人的な名声もさることながら、ZOZOTOWN自体が、個人顧客が利用するサービスであり、「ファッションとネット」いう分かりやすい事業特性を持つため、そのキーワード中心とした興味や知識を持つ人材が集まりやすく、「ブランディング」においても非常に有利になります。