例えば、こういう研究比較があります。かつて、Apple社は、iOS10という現在のiPhoneの基盤ともいえるOSを、600人の開発者が2年かけて開発しました。一方、Microsoft社は、Windows VistaというOSを、10万人の開発者が5年かけて開発したといいます。もちろん異なる製品ですので単純な比較はできませんが、このApple社の開発効率の高さには、人事的な工夫がありました。

 それは、開発者全員が「個人の目標」ではなく、iOS10を開発するという「チーム目標」だけを持つようにしたのです。

 そうすることで、全員が協力し合って非常に効率的に作業が進められました。Microsoft社では、通常どおり個人目標が設定されていたため、開発者は自分の仕事が終われば帰ってしまいます(Fast Company “Why Employees At Apple And Google Are More Productive” 2017/03/13 )。

 これは、「単一の目標がある集団においては、個人の目標を追いかけて差を付けることが必ずしも事業の成長につながらない」ということを示唆する好例でしょう。

 実はスタートトゥデイでも、「ボーナスの全員同額支給」という取り組みがあります。ZOZOTOWNの事業を中心に全員で協力して事業を発展させていかなければ、個人がそれぞれの役割の中だけでいくら頑張っても、企業としては成長できない。全員が同じ方向を向いて、同じ成果に向かって走っているのであれば、あえて個人の業績を重視してボーナス支給の制度を複雑化させるよりも、全員で勝ち取った成果を全員で分け合うというシンプルな制度のほうが組織としての成果を目指す意識を高めるやすくなる、という原則に沿った取り組みだといえます。

「就業時間を短くし、社員が自ら学ぶことを支援」
これで企業にイノベーションが生まれる

 また、スタートトゥデイには、「ろくじろう」という制度があります。これは1日の就業時間を6時間で終了してもいいという制度です。基本的な就業時間は午前9時から午後3時となっており、昼休みがありません。もちろん、全員が毎日6時間の就業で帰宅できるというわけではないと思いますが、可能な限り仕事を短時間で終わらせるようという共通の価値観が生まれやすくなります。

「ろくじろう」のポイントは、「終了してもいい」としているところです。そもそも、工場や店舗などシフトによる稼働や、開店時間が決まっている職種を除けば、働き方や仕事のあり方は、今後より多様化していきます。特にグローバルに事業を展開している企業では、時差を考慮して仕事をすることになり、定時という概念が事実上通用しません。