バーナンキ教授たちが取り組んだ恐慌研究は、長い間デフレに悩まされ続けている日本にきわめて重大な示唆を与えるものだった。

 教授をはじめとするアメリカの経済学者たちは、日本のデフレ論争にたいへん大きな影響を及ぼしている。

 これを踏まえた日本での本格的なデフレ対策がアベノミクスである。アベノミクスに歴史ありというわけだ。

 いま考えれば、浜口首相は大蔵OBであり、井上蔵相は日銀OBであり、昭和恐慌に対応するにはこれ以上ない最悪コンビだったともいえる。

 大蔵省と日銀に根強く継承されてきた財政金融政策の「緊縮遺伝子」が当時の緊縮政策として発現した事例といってもいい。

 石破氏は、『男子の本懐』を何度も読んだと言うが、バーナンキ教授の本は読んだのだろうか。もし読んでいないなら、歴史に学んだことにならない。

 デフレ脱却の経済政策として参考にすべきは、浜口雄幸でなく高橋是清だ。

(嘉悦大学教授 高橋洋一)