医療保険における自己負担は、高齢者が働くことに対する強いペナルティになっている。
それだけでなく、現行制度の下では、高齢者が働くと破滅する恐れさえある。
安倍晋三内閣は、「生涯現役」を目標として掲げ、高齢者の就業率の引き上げを政策課題としている。それを実現するためには、在職老齢年金の廃止とともに、医療保険の自己負担制度を見直すことが不可欠だ。
高齢者自己負担率は1割だが、
働くと3割になる
前回8月30日付け本コラム「働く高齢者が損をする『在職老齢年金制度』は廃止が当然だ」で書いたように、在職老齢年金制度は、高齢者の就業に強い抑制効果を持っている。
だが高齢者が働くことに対する制度上の障害は、これだけではない。
実は他にも、制度上の深刻な問題がある。それは医療保険制度だ。