パートの女性とも目標値を共有した店長

 私の外食事業時代に、ある店で落合氏のようなことを実践している店長とパートがいた。

 パートやアルバイトは、外食業界では非常に重要な戦力だった。
 働く時間や部門は限られるが、自分が課された場所やミッションに対しての責任感は非常に強い。
 ベテランともなると、ヘタな社員よりよっぽど職場のことに通じていて、

「アンタ、何ボヤッとしてるのよ」

 なんてやっていたりする。
 じつに頼もしい。

 ある駅に一軒の鯛焼き店があった。

 ここにはボヤッとしている当社社員の男性店長とパートのおばさま方が4人ほど。

 店長はボヤッとした男なのだが、ひとついいところがあって、朝礼で必ず一日の収入目標を時間単位で伝えた。

「今日は平日ですので、15万円が目標です。
 夕方5時までに半分の7万5000円は稼がなくてはいけません」

 ふだん、ボヤッとしているのだが、これだけは必ず伝えた。
 そうしておくと、夕方5時を前にして数字が届かないようだと、パートの皆さんがさまざまな努力をはじめるのだ。

 電車が到着するのにあわせて、アツアツの鯛焼きを用意し、店の外に出て呼びこみをする。

「鯛焼きいかがですか」と、駅を行くひとたちに、ひとつでも多く売ろうと粘る。

 パートの皆さんは、自分に課された時間帯への責任感と忠誠心をリミットのギリギリまで発揮する。

 これは、数値目標がはっきりしているからだ。

 細分化した目標を伝えると、ひとは動くのである。

☆ps.
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