古今東西の映画を通じて、社会保障制度の根底にある考え方や、課題などを論じていく連載「映画を見れば社会保障が丸わかり!」。第18回では、安倍政権が掲げる「女性活躍」と社会保障制度の関係を考えるため、1939年製作の『東京の女性』、1962年製作の『閉店時間』などを取り上げます。(ニッセイ基礎研究所准主任研究員 三原 岳)
女性活躍を掲げる政府
「M」の形が崩れつつあるが…
安倍晋三政権は現在、「女性活躍」を重視しています。中長期的な経済財政運営の方向性を示す「骨太方針2018」を見ると、「女性活躍の推進」として女性リーダーの研修、多様な働き方の支援、育児休業取得の円滑化といった施策が挙がっています。
女性の働き方については、以前から「M字カーブ」が指摘されていました。これは年齢階級別に見た労働力率が「M」の形に似ていることに由来しており、結婚・出産期に当たる年代に就業率がいったん低下した後、育児が落ち着いた時期に再び上昇する現象を指しています。
近年は【図】の通りに「M」の形が崩れてきているのですが、それでも男女の賃金格差は大きく、女性が活躍できる余地はたくさん残されていると思います。