『ダイヤモンド・セレクト2018年8月号 中高一貫校・高校大学合格力ランキング 2019年入試版』から、医師の養成を目的とする医学部医学科に合格する力を見ていこう。今回は対象医学部に変化があるため前回との順位比較は直接行わないが、上位の顔ぶれに大きな変化はない。合格力算出の対象となる国公立、人気の私立の合格者数も掲載した。現役合格率の高い高校など、医学部入学を巡る昨今の状況も含めて見ていこう。
秋から始まる医学部入試
AO・推薦枠も徐々に増加
入学するつもりがあまりなくても、医学部受験の皮切りとなるのが埼玉県所沢市にある防衛医科大学校だろう。一般募集は約85名だが、9月に出願して10月下旬と12月中旬に2度の試験がある。受験料無料、学費も無料という唯一無二の存在だけに、模試代わりに毎年7000人~8000人ほどの受験生が全国から受験しに来る。そうした事情もあって、合格者も募集定員の4倍近く出しているようだ。
1月中旬のセンター試験、2次試験は2月中旬の前期と3月中旬の後期に国公立大の入試日程は組まれている。私立大の医学部の場合は、早い大学は1月中旬から1次試験がある。センター試験利用型の入試も多く、2次試験は2月に設定されることが多い。
最近ではAO・推薦枠も徐々に増えている。東京大の推薦入試の場合、出願が11月初旬で、選考日は12月中旬、合格発表は2月初旬となっている。京都大の特色入試は書類審査にパスすると12月中旬に小論文と面接が行われ、ちょうどセンター試験の頃に合格が発表される。岡山大のAO入試は国際バカロレアを利用する入試だ。8月と10月に募集され、前者は8月末に、後者は2月上旬に合格が発表される。
このように、医学部の受験機会は意外と多様で、どれを受けるでも頭を使う。加えて、医学部に顕著なものとして「地方枠」がある。僻地医療といえば都道府県が共同で設立した自治医科大学が有名だが、医師の都市偏在を是正すべく、奨学金も支給される例が多い。
医師の適性を見るためほとんどの医学部で導入されている面接試験だが、地元優先の気風がある大学では、圧迫面接めいたものになることもあると噂される。学生が耐え切れずに涙を流そうものなら、「医師が患者の前で泣いていいのか」とたたみかける。都市伝説の類と言いきれないのも、地元占有率がやたらと高い医学部も現に存在しているからだ。
名門公立高が巻き返し!?
合格者の多い高校はどこか
今回、合格力算出対象医学部から慶應義塾大、自治医科大、産業医科大、防衛医科大学校の4大学を外して、国公立大50医学部のみとした。
代わりに、国公立大学合計と、ランキングには反映されないものの、私立と省立32大学ののべ合格者数合計を掲載した。
ベスト100校を見ると、今回も上位には男子校を中心とした私立と国立の中高一貫校が名を連ねている。公立の最高ランクは23位の札幌南で、一貫校優位の状況に変わりはない。
上位10校を見ると、1位灘、2位ラ・サール、3位東海、5位東大寺学園、6位北嶺、8位甲陽学院はいずれも私立男子中高一貫校だ。残り4校のうち、4位久留米大学附設と7位愛光、9位岡山白陵は私立共学中高一貫校、10位金沢大学附属は国立共学中高一貫校ということで、いずれも中高一貫校という結果になった。中でも、国公立の医学部合格者数合計が3ケタになる3位東海は、私立も足すと208人が合格しており、医学部進学にかなり注力している学校といえる。