ジャック・マー会長と張勇CEO
ジャック・マー会長(左)と張勇CEO Photo:REUTERS/AFLO

ジャック・マーが
来年9月に会長職を退くと発表

 9月10日、中国のIT大手アリババドットコムの創業者であるジャック・マー(馬雲)会長は、来年9月に会長職を退くと発表した。この発表を耳にしたとき、「さすがジャック・マーは決断が速い」との印象を持った。

 その人の資質を見極めて出資を行い、目覚ましい成長を遂げてきたソフトバンクの孫正義氏は、マー氏に会って5分で出資を決めたという。それほどジャック・マー氏のリーダーシップ、決断力は図抜けていたのだろう。孫氏は、「彼には大勢を一つの目的に向かわせる、絶大なカリスマ性がある」と評価している。

 一言で言えば、ジャック・マー氏は勇敢な“攻め”の企業家だ。同氏は自らの先見に基づいてアリババの成長ビジョンをまとめ、そこに多くの人を引き付けてきた。それが高成長を支えたことに疑いはない。

 ただし、未来永劫、企業が高成長を続けることはできない。どこかで成長のペースが鈍化することはある。“攻め”から一時的に“守り”を固める経営の方針を変えることは、企業経営の長期存続に直結する重要なポイントといえる。

 そのために、創業者が経営の最前線から一旦離れ、財務の専門家(CFOなど)に経営のバトンをゆだねることはよくある。また、中国政府はBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)などIT企業への規制を強化している。環境の変化を受けてジャック・マー氏は、ここで経営の守りを固めることに適した堅実な人物にアリババの経営を引き継いだと見る。

アリババの高成長を
実現したジャック・マー氏

 アリババの業績は絶好調だ。株価の動向はややさえないものの、4~6月期決算では、EC(電子商取引)事業などを中心に売上高が予想を上回った。また、モバイル決済を手掛けるアリペイをはじめ個人向けのフィンテック(金融ビジネスとIT先端技術を融合した事業)の分野では、アリババの存在感は世界屈指といってよい。