R&D費はトヨタの1.5倍

 では、米国に脅威を抱かせるほどに成長したファーウェイとは、どのような企業なのか。

 1987年に、創始者の任正非(レン・ジェンフェイ)氏が深センで起業。当初は香港製の電話交換機を代理販売する弱小商社にすぎなかった。それから30年。売上高は10兆円を超え、海外でその半分を稼ぐ。従業員18万人以上を抱える巨大企業に成長した。

 日本では、中国のスマホメーカーという印象が強いかもしれないが、実態は少し違う。

 世界30社以上の通信事業者と5G実証実験を実施。スマホ出荷台数とサーバー出荷台数は、いずれも世界シェア3位。通信事業者向けネットワーク事業、コンシューマー向け端末事業、法人向けICTソリューション(エンタプライズ)事業の「3大事業」のそれぞれで世界首位を狙える、れっきとしたグローバルカンパニーである。

 何と言っても特筆すべきは、潤沢な研究開発(R&D)予算の大きさだ。17年のR&D投資は約1兆5509億円で、米アマゾン、米アルファベットに続く世界3位に入る。日本トップのトヨタ自動車と比較すると、売上高が3分の1の規模なのに、R&D投資は1.5倍に上る。中国のITジャイアント、アリババやテンセントと異なり、M&A(合併・買収)の行使には消極的で、自前成長を基本原則としている。

 湯水のごとく、かつ機動的に資金をR&Dへ投下できるのは、株式を上場していない非公開企業ならではの荒業だろう。

 かといって、経営者が乱脈経営に走ることはできない。会長職は半年ごとに3人の持ち回りで代わる輪番制を採用。また、ファーウェイでは、従業員持ち株制度を導入しており、中国人の従業員8万人が株式を保有し、創始者の持ち分はわずか1.4%だ(外国籍従業員には別のインセンティブプランがある)。業績の浮沈がそのまま従業員の報酬に直結する、組織に緊張感をもたらす仕組みが取り入れられている。