モスには会見要請も一切ナシ
企業報道にも見られる「偏向」

 異物混入なんて大した問題じゃないなどと言っているのではない。口を切った怪我人1人で、マックがここまで叩かれたのに、食中毒患者を28人出しているモスの扱い方は、あまりにマイルドすぎではないか、と申し上げたいのである。

 事実、同社の広報・IRグループに問い合わせたところ、担当者は「現時点で記者会見を開く予定はありません」と言っていた。28人食中毒はマクドナルドの事件を遥かにしのぐ大きな問題であることは言うまでもない。当然、マスコミは記者会見を開催するように要請をしているだろうと思い、それを尋ねると、耳を疑うような答えが返ってきた。

「そういうご要望は一切ありませんね」

 マックの異物混入を地方紙が報道したのは2015年1月5日。そこからマスコミが大騒ぎをしたことで、客からの問い合わせも殺到し、報道から2日後の7日に謝罪会見という運びとなったことに鑑みると、不自然なほど「甘い」と言わざるをえない。

 なんて話をすると、「ははあん、さてはこいつはマックのシンパで、モスを叩きたいのだな」と勝手に赤組・白組のレッテルを貼りたがる人が多いが、そういう意図は全くない。

 企業の報道対策アドバイザーをしている立場として、ようやくネット上では常識のように語られるようになった「偏向報道」というものが、政治やイデオロギーの世界だけではなく、企業不祥事の中にも存在するということを、知っていただきたいのである。

 彼らの「偏向」ぶりを理解するには、先ほど紹介した1月7日のマックの謝罪会見場に押しかけた、「正義のジャーナリスト」たちの言動が最もわかりやすい。

 当時、某経済ニュース番組で人気を博していた美人キャスターの方は、マック側が1月3日に異物混入を把握して、5日に、同じ工場で同じ日に生産された資材の使用中止の決断したことを、「ワンテンポ間があくような感じ」だと厳しく糾弾している。

 また、在京キー局の記者も、前年の12月にサンデーを食べた客がプラスチック片で口の中を切ったことを受けて、このように語気を強めている。

「アイスクリームは怪我をされていますけれども、それは公表しなくても良かったんでしょうかね?今のお話ですと、そういうことであれば直ちに公表したほうが良かったんじゃないでしょうか」

 消費者目線に立った素晴らしい見解で心から尊敬するが、では彼らの「正義」を今回のモスバーガーにも適応させてみよう。