医療費が高額になった場合に、窓口負担を軽減できる「限度額適用認定証」。
これまでは70歳以上の人には必要なかったが、この8月から高額療養費の限度額が見直されたことに伴い、70歳以上でも高所得層の一部に「限度額適用認定証」の申請が必要になっている。
「限度額適用認定証」を持っていないと、療養中の持ち出しが多くなり、家計への負担も大きくなる。この機会に、改めて限度額適用認定証について確認するとともに、70歳未満と70歳以上の人の制度の違いについてもみておこう。
「限度額適用認定証」があると
医療機関の窓口負担を軽減できる
健康保険には「高額療養費」という制度があり、医療費の支払いによって家計が破綻し、貧困に陥ることのないように、患者が1ヵ月に支払う自己負担分に上限を設けている。
現在、70歳未満の人の高額療養費の限度額は、所得に応じで5段階に分類されている。たとえば、70歳未満で年収約330万~約770万円の人の限度額は、【8万100円+(医療費-26万7000円)×1%】。1ヵ月の医療費が100万円かかった場合は、8万7430円が限度額だ。
ただし、健康保険証を見ただけでは、その患者がどの所得区分の人なのか分からない。そのため、自己負担した医療費が高額療養費の限度額を超えた場合、以前はとりあえず窓口で3割(70歳未満の場合)を支払ったあとで、加入している健康保険に申請して、支払った窓口負担分と高額療養費の限度額との差額を払い戻す手続きが必要だった。
たとえば、1ヵ月の医療費が100万円なら、窓口負担は30万円、医療費が500万円なら150万円を、いったんは支払う必要があったのだ。自己負担割合が3割といえども、医療費が高額になると相当な負担だ。