レトロブームに便乗
【実家の片付け】

メルカリで高く売るメルカリはタブレットで。40年前のものが現在の新品より高く売れた(下写真)

 「僕が子どもだった昭和30~40年代の日用品は、いわゆる“レトロ”好きな層に人気があるんです」

 こう語る入江誠さん(57歳)がメルカリに出品しているのは、実家にあった日用品だ。2年前に他界した両親は3LDKの公団住宅に住んでいた。

 2人の死後にそこを引き払い、自分のマンション(1LDK)に荷物を全て押し込んだものの、部屋の半分を占拠されてしまった。

メルカリでレトロブームに便乗

 入江さんの親世代は、所有することがステータスで、とにかく物持ちが良い。今のはやりである断捨離とは対極の価値観だ。

 一番多かったのが、普段使いの調理器具や食器。父母と自分の3人家族だったので、食器は同じものが全て三つずつそろっていた。

 「全部自分が子どものころ実際に使っていたもので、整理しながら次々に当時の思い出がよみがえった」と入江さん。独身のため、今はもう使う機会がほとんどない。

 それらをよく見ると、現代の商品にはない形や色使いをしていた。空間プロデューサーを生業とし、インテリアや雑貨のトレンドに詳しいため、30~40代の女性の顧客たちが古いものを好んで買い求めることを知っていた。

 両親が残した日用品も同様の層にウケるのではないか──。友人に相談したところメルカリを勧められた。

 出品のコツは、説明文だ。ターゲット層が検索しそうなキーワードを必ず盛り込む。入江さんの勝負キーワードは「昭和レトロ」。この一言で、ただのノーブランド、そして古ぼけた日用品が、価値ある逸品に格上げされるのだ。

 入江さんは大幅な値引き交渉には応じない姿勢を貫いている。

 「手放すとはいえ、自分にとっては思い入れのある品。その価値を認め、大切に使ってくれる人に譲りたい」(入江さん)