高血圧対策の減塩法高血圧対策、効果的な方法とは?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

WHOの調査によると、世界全体の死亡原因トップ10は順に、虚血性心疾患、脳卒中、下気道感染症、慢性閉塞性肺疾患、気管・気管支・肺がん、糖尿病、アルツハイマーその他認知症、下痢性疾患、結核、道路交通傷害。かつて多かったエイズや高血圧虚血性心疾患に代わって認知症や結核がトップ10入りしているとはいえ、上位2位の疾患と高血圧は無関係ではない。厚生労働省が3年ごとに実施している「患者調査」の平成26年調査によると、高血圧性疾患の総患者数は1010万8000人と、前回より104万人増加した。では、最悪の場合、死につながりかねない高血圧対策をどのように行うべきか? 30年以上前から携帯型血圧計を装着し、24時間血圧自己測定の世界記録保持者でもある、聖光ヶ丘病院顧問の渡辺尚彦医師に話を聞いた。(聞き手/ライター 羽根田真智)

30年以上24時間血圧を測り続ける医師
「普通の減塩法はすぐ挫折する」

渡辺尚彦医師渡辺尚彦(わたなべ・よしひこ)
聖光ヶ丘病院顧問、医学博士。
1952年千葉県生まれ。1978年聖マリアンナ医科大学医学部卒業、1984年同大学院博士課程修了。1995年ミネソタ大学時間生物学研究所客員助教授として渡米。東京女子医科大学東医療センター内科教授などを経て、現在、愛知医科大学客員教授、早稲田大学客員教授、日本歯科大学臨床教授。1987年8月から連続携帯型血圧計を装着し、365日24時間血圧を測定している。高血圧改善のためのポイントを「渡辺式血圧を低下10カ条」にまとめ、「渡辺式血圧を低下音頭」を作詞作曲。「ミスター血圧」とも呼ばれ、雑誌、テレビなどで活躍。著書多数。

――30年以上前から毎日24時間、携帯型血圧計を装着して分かったことはどういうことでしょうか?

 私は高血圧など循環器疾患を専門とする医師であることから、1987年8月より30年以上、毎日24時間血圧を測り続けています。入浴中は血圧計を外しますが、それ以外は診察中、移動中、睡眠中、食事中、トイレ中、散歩中、サウナに入る時ですら、ずっと血圧計を付けています。

 この膨大な記録から分かったのは、血圧がどういう時に上がり、下がるのか、ということです。教科書に載っていたり、学会発表された内容だったり、一般的にいわれている降圧方法などが、本当に正しいのか? まさに身をもって“実験”しているのです。

―― 一般的に「減塩」は血圧を下げるのに欠かせないといいます。先生の“実験”ではいかがでしょうか?

 もちろん、塩分は血圧の大敵です。塩分を取り過ぎれば、血圧はてきめんに上がります。例えば一見ヘルシーそうな食品、昆布のスナック食品は、酢昆布やおしゃぶり昆布、塩昆布などいずれも塩分量が多い。昆布そのものはミネラルを含み健康にいいかもしれませんが、塩分量の多い昆布のスナック食品は血圧を上昇させる食品以外のなにものでもありません。