米国が対中制裁関税第3弾発表でも
株式市場は堅調な展開

米中貿易戦争の行く末は楽観できない
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 9月17日、米国のトランプ大統領は対中制裁関税の第3弾を発表した。その発表にもかかわらず、その後の株式市場は堅調な展開になっている。米国の10年国債流通利回り(長期金利)は3.05%に上昇し、8月以降軟調に推移してきた新興国通貨も底堅く推移した。

 貿易戦争は世界経済の成長に重大なマイナス要因になる。それにもかかわらず、足元の株式市場の展開をみると、トランプ大統領の発表内容は事前に織り込まれていたということかもしれない。

 また、トランプ政権が米国の家計に配慮しつつ対中制裁を発動したことも、リスクテイクをサポートしたとも考えられる。いずれにしても、株式市場は、米・中両国がとりあえず貿易戦争に耐えられるだけの体力を持っていると見たということだ。

 ただ、現実問題として、中国は短期的に厳しい状況に直面せざるを得ないはずだ。米国は中国から年間5000億ドル程度の輸入がある。それに対して中国の対米輸入額は年間1500億ドル程度だ。中国は、米国に対してすべて関税だけで報復することはできない。事実、中国の景気減速懸念も高まっている。

 今後の展開を予想すると、トランプ大統領が中国との貿易戦争をどこまで続けるかがポイントだ。中間選挙を控え、トランプ氏は対外強硬姿勢を強調して人気獲得を目指すだろう。すでに、中国からの輸入全体に25%の関税をかける考えを同氏は示した。それが現実のものになると、わが国経済には無視できない影響が及ぶはずだ。

 現在の株式市場の動向はともかく、少し長い目で見ると、トランプ大統領の政策次第では世界経済の足を引っ張る懸念は十分にある。過度な楽観は禁物だ。