太平洋に面したメキシコのリゾート地、アカプルコは世界で最も殺人が多発する場所の1つだ。クリスチャン・サビノさん(22)はある朝早く、中央市場のそばでプラスチック製の椅子に座っていた。そこへ銃を持った男が近づき、5回発砲した。地面に倒れ込んだサビノさんの頭に男は最後の1発を撃ち込み、その場を立ち去った。この日、アカプルコでは他にも6人が殺害された。被害者の1人であるタクシー運転手の遺体はバラバラに切り刻まれていた。死はあまりにも日常の風景に溶け込んでおり、ローストチキンを出す近くのレストランの一部常連客は、警察がサビノさん殺害の現場周囲を封鎖したのを見届け、そのまま最後まで食事を続けた。