そこで著者たちは、熱海銀座の活気を取り戻す計画を立てた。空き店舗をリノベーションして「CAFE RoCA」というカフェをオープンさせたのだ。コンセプトは、「家でも職場でもない第3の居場所をつくる」。こうした場所があってこそ、新たなコミュニティが生まれるはずだという思いがあった。

 しかし、オープン当初は賑わっていたカフェも、やがて閑散とするようになってしまう。立ち上げから店長をやっていたスタッフが出社しなくなったことを皮切りに、職場の雰囲気が悪くなり、サービスが低下してさらに客足が遠のくという悪循環に陥ってしまった。

 不安にさいなまれた著者は、半年で経営を立て直すことを決める。収支を明確に把握するようにしたり、産休に入っていた妻が復活したりしたことが功を奏し、だんだんと人が戻ってきたという。

 時を同じくして、熱海銀座では、いろんな人がイベントを開くようになり、人が集まってくるようになった。赤字営業から抜け出せなかったCAFE RoCAは、閉店という結果になったが、街の雰囲気を変えることには成功したのだ。

◆ビジネスで人を呼び込む
◇ゲストハウス「MARUYA」

 チーム里庭やオンたま、CAFE RoCAといった取り組みは、熱海に住む人たちの意識を変え、地元活性化を進めるものだった。その結果、街の外に住む人たちも熱海に注目してくれるようになっていった。外から人を呼び込むタイミングがきていると、著者たちは感じたという。

 そこで手がけたのがゲストハウスだった。著者が海外を旅していたとき、印象に残った街には良いゲストハウスがあった。一方熱海には、良い温泉旅館はあっても、良いゲストハウスがないという課題に気付いたのだ。

 著者たちがオープンしたゲストハウス「MARUYA」は、交流型の素泊まり宿だ。30人が泊まれる宿泊スペースと、座って話したりお茶を飲んだりできるラウンジスペースを備えている。

 MARUYAでは、宿泊客が入浴するときは近所の温泉へ行ってもらう。朝食はご飯とみそ汁のみをMARUYAで用意しておき、宿泊客が干物屋さんで好みの干物を選び、テラスのグリルで焼く。ゲストハウスに泊まることで自然と街に出かけ、街との接点ができ、熱海のファンになるという仕組みだ。