世界の投資家が「ワイン」に注目する理由

 こうして世界中で多くの投資家がワインに投資するようになったわけですが、彼らがワインという商品に魅力を感じるのは、ワインが持つその特異性にあると言えます。

 ワインは付加価値と希少価値により価格が変動する唯一の商品です。たとえば、ヴィンテージによっても付加価値が変わります。同じ名の商品でも、生産年によって価値がまったく変わるものはほかにはなかなか見受けられません。また、毎年その本数も減っていきますので、希少性も年々高まります。それによっても価格が高騰するのです。

 さらに、ワインは長く保管すればするほど基本的には価格が上がっていきます(ワインのタイプや保存の仕方にもよりますが)。ワインは食品でありながら賞味期限もなく腐るわけでもなく、逆に古ければ古いほど価値が上がるのです。

 もちろん、ワインにも飲みごろのピークがあるので、ピークを過ぎたワインは徐々に人気が下がります。しかし、そうしたワインを「アンティーク」という感覚で集めるコレクターも多く、そこにもまた付加価値が生まれるのです。

 その売買の容易さも魅力となっています。基本的にワインは、銘柄とヴィンテージを伝えるだけで売買が成立します。ワイン好きも世界中に存在し、マーケットが広いのも魅力のひとつです。海外の男性誌や経済誌では高級ワインの特集が頻繁に組まれ、その関心の高さがうかがえます。