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レッドハットが開発者向け
個人指導サービスを始めた理由

末岡洋子
2018年10月4日
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新しいシステムを導入するには
技術+プロセスが必要

――なぜ“ハンズオンの手ほどき”が必要なのか?

 ツールは必要だが、それだけでは不十分。使い方を教える必要がある。また、組織を変えるためには、開発の段階でどうやって意思決定をするのかを教え、コミュニケーションとコラボレーションの効果的なタイミングややり方を伝える必要がある。Red Hatは“オープンオーガニゼーション”(オープンな組織)として、透明性、インクルーシブ、適応、コラボレーション、コミュニティの5つの特徴を持つ組織を確立している。このノウハウは我々の強みだ。

 我々技術企業はツールを提供できるが、顧客企業の多くがIT部門、財務部門など部門ごとにサイロ化されている。例えば決済のアプリを作るとなった場合、様々な部門が関与する必要があるが、サイロ化されていると部門間で協業して最高のサービスを開発することは難しいだろう。つまり、デジタル化にあたって、企業はツールなどの技術知識に加えプロセスとメソッドも必要としている。それも、実証済みのものを利用して、すぐに効果を出したいと思っている。

 Open Innovation Labsでは、ITとビジネスが協業するための具体的なやり方を伝える。また、グローバルプラクティスの作成も重要な目標だ。Red Hat内で学びを共有し、世界のアイデアを取り入ている。我々のツール、そしてプロセスとメソッドは日々改善しており、地域の知識の積み上げと大きな共通リソースの拡大を同時に進めている。

――具体的にどのような効果が出ているのか?

 オーストラリアの金融機関「Heritage Bank」では、顧客満足を重視するビジネスモデルを敷いており、ちゃんと成果が出ていた。だが将来は物理的な拠点のあるデジタルバンクになる必要があるという課題認識の下、我々のサービスを利用して新しい支払いプラットフォームを構築することにした。それまでの決済機能は古く、ベンダーのサポートも切れていた。さらに導入から時間が経過しているため、コードのメンテナンスができる人材は2人しかいなかった。外部のベンダーに頼んでモダン化を試みたが、失敗。それを我々の支援により、12週間で完了した。CEO自らがITを利用したトランスフォーメーションの重要性を認識しており、ITと事業部門とのサイロをなくそうとしていた。Open Innovation Labsにより、ITとビジネスが同じ目標に取り組む体制をとるにはどうすればよいかを見せた。

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末岡洋子

すえおか・ようこ/フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

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