AIはどのハイテク企業にとっても重点分野だが、グーグルはAIの製品化にあたって「全員が使える」を指針としている。Google CloudでチーフサイエンティストとしてAIの取り組みを率いるフェイフェイ・リー氏は、AIの将来に楽観する一方で、偏見に対して早期から取り組む必要があると訴える。
AIは「特別な時期」に入っている
Google AI チーフサイエンティスト
スタンフォード大学のAI教授を務め、画像データベース「ImageNet」プロジェクトをスタートした。2017年よりGoogleに参加。Googleが国防省の軍用AIプロジェクト「Project Maven」に関わっていることに対して、社内で警告したともいわれている。「AI Principles」はその後できたもので、AIの方向性を定めるものとして意義あるものだと見る。
――スタンフォード大学で教鞭をとりながら、グーグルに入社した理由は。
フェイフェイ・リー氏(以下・略) 2017年1月にグーグルに入社しました。長年AI分野で科学者として研究に携わってきましたが、いまAIは特別な時期に入っていると考えています。企業はデジタル変革(トランスフォーメーション)にあたってAI、そして機械学習を利用しようという動きが高まっています。私は長年研究分野にいましたが、産業界に加わって、AI技術を広げるプロセスに貢献したいと思ったのです。
グーグルはAIにおいて重要な企業です。クラウド企業であり、クラウドは最大のコンピューティングプラットフォームと言えます。スタンフォード大学とAIで共同のプロジェクトもあり、知り合いが大勢いたことも理由の1つです。
――グーグルでやり遂げたいことは何ですか。
AIに関わって20年になります。当時はニッチな分野でしたが、現在は産業革命、デジタル変革の原動力になっています。
科学者として、AIが人々の生活にポジティブな影響を与えることを願っています。ヘルスケア、小売、教育、農業、製造など、あらゆる業界がAIを活用して製品やサービスを新しいものにし、これが人の生活の改善や仕事の改善につながる……。これがグーグルでやりたいことです。
また、私の願いは、AIの民主化、人間が中心のAIというグーグルのメッセージとも一貫性があります。技術がいかにパワフルであっても、技術の核心は人の幸福や利益にあります。