島村 取り入れてみての社内の反応はいかがですか。

下田 デザイン思考には、「観察」が欠かせないのですが、最初はみんな、「観察したことがある」と言います。しかし実際にやっていることは、「知っていることの後追い」と「記録作業」であることに気付くようです。

野村総合研究所 流通・情報通信ソリューション事業本部 業務管理室の下田浩誉氏

 小学生の頃、朝顔の“観察”を例にしますと、理科の教科書に書いていることの確認と記録(観察日記)です。種をまいてでてきたフタバが朝顔のものであると知っているから、自分の撒いた種の葉かどうかの確認をしませんし、ツルが出ると知っているからあらかじめ支柱を用意して立てますし、朝に咲くと知っているから寝坊せず早く起きて咲いていることを観察日記に書くだけですね。これでは、本来の意味での観察ではありません。

 たとえば、朝顔はなぜ朝を認識するのでしょう?夜からの時間が経過したら朝なのでしょうか。朝に明るくなったら咲くのでしょうか。でも、曇りや雨の薄暗い日でも朝に咲くとすると――と、考えを進めながら観察をすることが、本来あるべき姿なのです。

 観察に限らず、デザイン思考は常に考えをめぐらせていくことが大切で、こういったアクションが身に着いてきたと実感してもらっているという話を聞くとうれしいですね。

教え合うとは
「共に考える」こと

島村 研修の成果や効果についてはどのように考えてらっしゃいますか?

下田 お客様への新しい提案で困ったときにこのカリキュラムを思い出す、または、このカリキュラムの受講生を相談できる相手として思い浮かべることができる。自分1人ではなく、多くの人とアイデアを膨らませていこう、と思い、行動してくれていたら、この点が本研修においては、まずは成果と言えるのではないかと考えています。