日本の給料では、もはやアジアの優秀な若手を獲得できないのかもしれない
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「私も帰国しようかな。このまま日本で働き続けるか、悩んでいるんです」

 朱麗さん(女性、仮名)は新卒採用で都内の有名大手企業に入社した上海出身の元留学生だ。「日本企業は要求が厳しい」と聞いてはいたが、入社後は順風満帆。過大なノルマも残業もほとんどない上に、上司も人格者で人間関係もいい。自らも「こんな恵まれた職場環境なんてないと思う」と喜んでいた。だが、朱さんの喜びは長続きしなかった。

 つい先日、朱さんは上海に一時帰国したときに幼なじみの友人宅を訪問した。友人は夫婦で上海の外資系企業で働いており、その裕福さはマンションの立地や室内の家具からも見て取れた。さらに友人宅には、中国の内陸部出身の「アイさん」がひとりいた。アイさんとはいわゆる「お手伝いさん」のことで、家事の一切をこなしてくれる貴重な働き手であり、共働き家庭には欠かすことのできない存在である。

 ここ数年、上海では「アイさん争奪戦」が激化していることを知っていた朱さんだが、友人からアイさんの月給を聞かされてわが耳を疑った。