トップシェア製品がずらりとそろう“最後の一社”
下表はパナソニックがトップシェアを握る製品の一覧だ。売上金額の大きい大型白物から、調理・美理容家電に至るまで、ありとあらゆるジャンルでトップシェアを握っているのが分かるだろう。中でも食洗機は、競合が事実上全て事業撤退してしまったため、国内で9割以上のシェアを握るという状態だ。“ライバルが消えた”ことは大きな要素としてシェアアップの背景にある。
とはいえ、数年前までは低収益にあえいだパナソニックが収益を改善できたのは、自助努力の結果でもある。
代表的な製品が洗濯機だ。単価ダウンに苦しんできた製品だが、若い世帯向けにデザインを重視しながらも本格的な機能を盛り込んだ「Cuble」(写真)、高齢者向けに操作パネルや洗濯物の取り出し口を大きくした「Jコンセプト」など、「年代別」に分けた製品を開発したのだ。
「ラインアップが増えたことで量販店での製品の設置数も増え、15年、16年の2年間で洗濯機の売上高は2桁以上の伸び率を示し、シェアや単価も上がった」(森山剛・パナソニック洗濯機商品課課長)
それでも順風満帆とはいかない。今後の新マーケットへの打ち手が見えないのだ。
韓国・LG電子やハイアールといった世界の大手は、今後、確実に普及するであろうIoT(モノのインターネット)家電の開発を加速させている。ところが、パナソニックでは中国向け製品を除き、そうした取り組みが進んでいない。“最後の一社”となったパナソニックは、現存の市場を守るだけではなく、「日本代表」として白物家電のビジネスの行方をも示していく必要があるのではないか。