リアルタイム情報の提供が
遅れている鉄道業界

 ここで期待されるのが「交通ジオメディア」の役割である。

 交通コンサルティングを専門とするトラフィックブレイン代表の太田恒平氏は、交通情報の現状について、鉄道ではリアルタイム情報が不足しており、逆に道路情報においてはリアルタイム情報しかないと指摘する。

 例えば鉄道の乗り換え検索アプリは、時刻表データから算出された最速ルートを提案してくれるが、実際に運行している列車の遅れや運休までは考慮してくれない。カーナビは現時点の道路状況を参照して案内してくれるが、ある特定の日時を指定して事前に最適なルートを調べることは得意ではない。

 もしも乗り換え検索アプリが、現在の遅延状況や混雑率を参照して、その駅や路線を迂回するルートを提案してくれたなら、混雑を回避することもできる。こうした技術はトラブル時・災害時の運行情報提供にも応用することができる。

 太田氏は東京オリンピック・パラリンピックという、いわば「計画的災害」に対応できる交通情報システムこそ、後世に残すべきレガシー(遺産)になるのではないかと提起した。

 実際に一部の鉄道事業者は、列車単位の遅延や混雑率などリアルタイム情報の提供を始めているが、自社アプリだけでの配信などにとどまっており、データの外部提供は遅れている。