精子の選別基準見直しなど
生殖補助医療全体の改革が急務

 そのため、特に顕微授精では、DNA損傷のない精子をきちんと選ぶことが極めて重要になってくる。日本産科婦人科学会も2009年、「精子数や運動率は、必ずしも精子の質を直接反映するものではない」とコメントしている。それにもかかわらず、多くの不妊治療クリニックの医師や胚培養士は、患者に「大事なのは運動率と数」と伝えている。運動精子のDNAは正常であるという「精子性善説」が大前提になっているのだ。

「現状では、精子機能異常と先天異常との因果関係は明らかになっていません。しかし、リスクマネジメントの観点から、『疑わしきは回避する』という考え方が、生命を誕生させる医療に携わる医師としてのポリシーであると思っております。今後、精子の選別基準の見直し、それに伴う顕微授精の適応範囲を明確にする必要があり、胚培養士の『精子に関する知識、技術レベル』を向上させると同時に、生殖補助医療業界全体の意識改革も急がれます」

 不妊治療は自由診療であるため、患者側の金額の負担は大きい。そのため、女性側に任せっきりではなく、男性側も事前に精子に関する基本的な情報を知った上で、クリニックの門をたたくべきだ。