トランクス
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 好みの問題といえばそれまでだが、男性の下着が妊活に影響するかもしれない。

 米ハーバード大学公衆衛生大学院の研究グループは、2000~17年にマサチューセッツ総合病院の不妊治療センターを受診した男性656人(年齢中央値35.5歳)を対象に、下着と精巣機能との関連を調査。

 対象者に過去3カ月の間に最も頻繁に身に着けた下着のタイプを質問し、同時に精液と血液の検体を採取した。

 下着の好みの傾向は、ゆったりはくトランクス派が53%、ブリーフやビキニなどぴったりフィットする下着派が47%とほぼ半々に分かれた。

 検査結果からは、トランクス派の男性は、非トランクス派の男性に比べ、精子濃度が25%高く、総精子数も17%多く、自然妊娠での受精率に影響する精子の運動能力が高いことが判明した。

 一方、精子の発育を促す卵胞刺激ホルモン(FSH)の血中濃度を比較したところ、トランクス派のほうが14%低かった。

 研究者は「非トランクス派では、精子数の低下を代償しようと性腺刺激ホルモンのFSH分泌が増加したのでは」と考察している。

 精子への影響をめぐるブリーフvsトランクス論争は、不妊治療の現場からロッカールーム・トークに至るまで様々になされてきたが、今回の結果を見る限り、トランクス派に軍配が上がったようだ。

 研究者は「フィットした下着を着けると、睾丸と腹部の距離が縮まって睾丸内の温度が上昇し、精子が形成されにくくなる」という。

 実際、精子形成には低温環境が必要であり、ヒト精巣内の温度環境は体温より4~6度低い31~33度に保たれている。

 たとえば、男性不妊を引き起こす精索静脈瘤は睾丸を包む陰嚢の静脈が拡張し、うっ滞した血液で睾丸が温められるのが原因。詳しいメカニズムは不明だが、高温により精細胞の増殖・分化が障害される可能性が指摘されている。

 世界保健機関の調査によると、不妊カップルの半数は男性側にも原因がある。妊活中の男性は下着から見直してみよう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)