「いよいよ自分が情けないと心底感じた。自分の母親がそういった事件の当事者となる苦しみは、深すぎて到底想像つかない。そんな中で彼女がした前向きな決意の、なんと力強くて尊いことか。

 いってみれば自分はただ『好きだった芸能人が引退した』という悲しみで、空虚さは甚大であっても彼女がかつて立たされていた苦境とは比べるのもおこがましい。彼女が示した強く前向きな生き方を、少しでも見習いたいと感じた」

 Aさんはしみじみ語る。

「もう自分の中で安室奈美恵の情報が更新されることはないが、彼女はこの世界のどこかで彼女の人生を全うしようとしている。『どこかで無事に生きている』とわかっていることは、誰かと死別するよりも圧倒的に希望があること。自分も彼女に恥じないようにきちんと生きていきたい」

 なお、今回は詳しいインタビューがかなわなかったが、かつて隆盛を誇ったSNS“mixi”のファンコミュニティーで出会って結婚した40代夫婦もいて、彼らも激しいアムロスに見舞われ、今まで以上に家で彼女の曲を爆音でヘビーローテーションし、部屋を暗くしてクラブ風に照明を明滅させ毎夜踊り狂っているそうである。アムロスの乗り越え方は人それぞれのようだ。

 ヘビーなアムロスに苦しむ人たちは第三者から見ると「そこまでならなくていいのに」という思いから滑稽に属する面白さがあり、彼らの真剣さは笑われてもいいかもしれないが嘲笑されるべき類いのものではない。

 その滑稽さは笑顔で愛され見守られるべきであり、真剣さは尊敬されるべきで、彼らはアムロスを克服しようとする葛藤の真っ最中である。「つらいアムロスを乗り越えた先にさらに豊かな自分が待っているはずである」と信じる他ない。

 安室奈美恵と出会えたことをポジティブな糧にできるかは本人次第で、そこが彼女の存在に感謝を表したいファンにとっての課題となっているようである。