いつでもどこでも、気軽に人と連絡を取り合える便利な時代となった。LINEで「グループ」をつくれば、同時に複数のメンバーと情報を共有できる。家族でLINEグループをつくっている人もいるだろう。そしてここに、新たな現象が生まれた。「お父さん、家族LINEで敬語を使う問題」である。父たちは、なぜ敬語を使うのか。その心理に迫る。「どうでもいい」と思うかどうかは、あなた次第である。(取材・文/フリーライター 武藤弘樹)
かたくなに崩さない敬語
独特な雰囲気を放つ父のLINE
日本国内において非常に多くの人に使われているLINEは、フェイスブックやツイッターと同様のSNS(ソーシャルネットワークサービス)である。SNSではあるが、誰かと連絡を取る際の使い勝手が甚だよろしいため、電話やメールに代わる連絡手段としてのみ利用しているユーザーは多い。
普及しすぎて“LINEいじめ”や、ビジネスの場に導入されて是非が議論されるなどの社会問題に発展することもあるが、これらはそれだけLINEが生活の中に深く食い込んできている証しであるとも見て取れる。
若年層の間では「数時間にわたって相手とLINEのやり取りをする」、“長電話”ならぬ“長LINE”をすることもあるようだ。内容は長電話の時と同じく、たわいもない世間話であったり深刻な相談事であったりする。
LINEはスマホとの相性が抜群によく、一部のアンチLINE派もいるとはいえ、スマホユーザーならLINEを標準装備していると見て大体差し支えない。
そして、家族からずっとせかされ続けてようやくガラケーをスマホに持ち替えた世のお父さん方は、これもまた家族の要請に従って家族だけがメンバーとなっているグループトーク、通称“家族LINE”のメンバーとなり、そこで家族との会話を交わし始めるのだが、「母と息子、娘らがくだけた口調でやり取りをしている中なぜかお父さんだけがずっと敬語を使い続ける現象」が各所で確認されている。
あなたもそんな様子を見聞きしたことはないだろうか。もしくは自身が、そうではないだろうか。