「Aと申します。企画を立てるのは初めてなのでいろいろ教えてください」
「はあーっ???」

 B主任はいきなり大声を上げた。そしてわざとゆっくりした口調で答えた。

「A君、社会人にもなって何甘えてんの?仕事は教わるものではなくて、実際にやりながら覚えていくものだよ」

 こう言い終えると、Aの机の前にいきなり約100ページの資料をドーンと置いた。

「最初のお仕事でーす。明日イベントで招待者に渡す資料を冊子にして1000部作るように。すぐ始めないと間に合わないからよろしく!」
「は、はい。わかりました」

 それからAはひたすらコピーをし続け、冊子にした資料を封筒に入れた。その作業を1人で黙々と行い、終了したのは夜の10時過ぎ。気がついたら誰も部屋にはいなかった。

「初日からこんな時間まで残業かよ。トホホ…」

 翌朝、積み上がった配布物を見たB主任は、拍手をしながら言った。

「よくできました。花まるでーす!」

 この配布物を運び出すと、他の部員は会場へと向かった。Aも同行しようとしたが、B主任に呼び止められた。

「君はお留守番。その間に要らなくなった書類をシュレッダーにかけておいてね」
「は…はい、わかりました」

 社内に残ったAは電話番などの雑用をしながら、積み上がった数千枚の書類をシュレッダーにかけ続けた。全部が終了した時には、時計はすでに夜10時5分前を指していた。

「今日も10時まで残業か。だがこのイベントが終われば企画ができる。それまで数日間の辛抱だ」

 ところがAの期待は裏切られた。B主任から指示される仕事は、資料のセッティングやゴミ出し、電話の応対などの雑務ばかり…。ミーティングにもA1人だけ呼ばれず、会議資料は手に入らない。さらにはパソコンのデータを見ようと思ってもパスワードを発行してもらえない。B主任には何度も願い出たが、無視された。Aは我慢をして雑務を続けた。