思わぬきっかけで目覚めた
「女としての価値」

 何げない幼なじみの一言。それはマイコさんの心に深く刺さった。もともと、その幼なじみには学生時代から複雑な感情を抱いていた。

「彼女は昔からルックスも男性関係も派手で、私とは真逆。小学校から高校までずっと一緒で、腐れ縁というか…、軽蔑する一方でコンプレックスを感じていたんでしょうね。彼女の前では、いつもどこか自分に自信を持てなくて、バカにされているように感じていました。だから大学入学を機に地元を離れた時は、ホッとした」

 自分とは対照的な幼なじみとは、苦々しい思い出だけを残して疎遠になった。30歳を迎えて久しぶりに再会した幼なじみは、キャバクラに勤め、ブランド品をこれ見よがしに掲げる、想像通りの女性に成長していた。その姿は相変わらず品がなく軽蔑さえしたが、一方で嫌というほど、「女」の匂いを漂わせている彼女をどこかうらやましく思ったという。

「こんなにも『女』を謳歌している友人を見ていたら、30歳を越えた、特に華やかでもない、何の経験もない自分は、女としてこの先、何ができるだろうと不安になりました。OLとして地味な毎日を送って、彼氏もいなくて、淡々と日々を過ごしているだけの自分を比べて、虚しくなってしまったんです」

 自身の「女としての価値」に思い悩むようになったマイコさんだが、今さらキャバクラや水商売で働くには経験もない上に、年齢的にも厳しい。そんなマイコさんの日常を変えたのは、1つの求人広告だった。

「モヤモヤした思いを抱えていたある日、外国人観光客に同行して、観光地を英会話で案内する人材派遣の広告をネットで見つけたんです。新しい刺激が欲しくて、特にやることもないので応募してみました。面接にいくと、その会社の社長に企業向けのパーティーがあるから同席してほしいと頼まれたんです」

 それは完全にパーティー用のコンパニオン役だった。募集要項とはそぐわない内容ではあったものの、華やかなパーティー会場にドレスアップした姿で向かい、男性の相手をするのは悪い気分ではなかった。

「その場で、とある企業の社長さんと仲良くなって、『よかったら後日、飲み直さないか?』と誘われました。友達も連れてきていいから、とすごく紳士的な誘いかただったのでOKしました。それで後日、たった2時間、少し高級なお店でご飯をごちそうになっただけ。その帰り際にタクシー代として私と友人それぞれに1万5000円くれたんです」