パワハラ発言は録音
引き継ぎは最低限のメモで

 新野氏自身もサラリーマン時代に上司の執拗なパワハラに遭った経験を持つ。

「過去、私が働いていた会社でもパワハラはありました。深夜23時半ころに会議室で、目を見ながら真顔で『殺すぞ!』と言われたこともあります。普通の人なら次の日から出社できなくなるでしょうね。ブラック企業をドロップアウトする人もいる一方で、順応して残ってしまう人も多いため、こうした社風が継承されていってしまうのだと思います。自分がされてきたことと同じ教育を新人にもしてしまうという、負の連鎖ですね」

 そして、いざブラック企業を辞めようとする段階になると、家族の説得も必要になってくる。

「上司や人事といった会社側の人だけでなく、親や恋人、友達など身近な人も、できれば会社を辞めないほうがいいと思っているものです。特に年配の世代は、退職に対してネガティブなイメージを持っています。私自身はこれまでサラリーマンとして3社を経験した後、今の会社を立ち上げましたが、親にはまだ2社目で働いているとウソをついていますからね。だからこそ、もっと気軽に退職できる環境が今の日本には必要だと思い、EXITを立ち上げたんです」(新野氏)

 しかし、退職するにあたっては、最低限の準備と責任も発生する。

「弊社のサービスとは直接関係はないかもしれませんが、もしパワハラなどが日常的に行われているようなら、在職中の段階から録音しておくことをお勧めします。一方で、退職前に最低限の引き継ぎは済ませておきましょう。直接担当者と引き継ぐのが難しいようなら、せめてメモで残してください」(岡崎氏)

 ブラック企業で手ひどい扱いを受け続けている人は、「辞めるな」圧力と戦うだけの余力が残っていないことも多いはず。EXITは「辞めたくても辞められない」人たちの「あったらいいね」が実現した存在なのだ。