経営×経理

 たとえば、経営会議やマネジャーらと折衝する場面では、どのような議論が交わされているのか、彼らはどのような意思決定をしているのか、そして実務担当者らが作成した経営資料がどのような場面で活用されているのかなどなど、具体的な情報を経理部全員に対して発信します。情報を受けた経理実務担当者らは、自身が担当している仕事の中でどの部分を主に活用しているのか、といった貢献度を知り得ると共に、次はどのような方法・見せ方をすれば、もっと効果的な資料が作成できるかなど、各人が模索するようになるでしょう。

 ひいては、実務担当者同士が会して意見を発しながら良策を見出したり、関連部署からもニーズをヒアリングしたり、諸々の手段をとりながら会計ソフトの機能を再度紐解き、さらに貢献度の高い仕事を目指しましょう。たとえば分析機能を駆使して、営業部に対して利益率の高い商品・サービスの傾向を提示したり、経営陣に対して過去数年分の固定費の増減と利益割合を提示したりと、各役割に応じたアプローチを検討するようになるのです。

 そこで、もしもあなたの部下などに消極的な人がいたら、フォローが必要です。経理実務担当者の潜在能力の差は様々で、中には「なかなか思いつかない」という人もいるでしょう。その場合は個別面談などを通し、わずかな気づきでも引き出して、本人なりに実行できそうなところを見つけてもらうように諮ることが、マネジャーの務めとなります。

 日々代わり映えせず、固定化されているように思われる実務の中から、関連部署や経営陣らに貢献できる業務を見出し、実現することで、経理実務担当者個々の成功例になる上に、全社に置いて生産性アップが期待できるのです。

“大人の事情”を最優先する文化が
経理部のシステム再編を阻み続ける

 「なぜ、今の会計ソフトを導入したのかですか。確か、経理部内で部課長も交えて、システム会社のプレゼンを聞いた覚えがあります。とても丁寧に運用方法も教えていただきましたが……。ただ、あの時点ですでに導入は決定していたようです。やはりウチとの取引先の関係で選ばれた感はありますよね」

 こう苦笑しながら語ってくれたのは、中堅印刷会社主任のAさん(40代・男性)です。いわゆる“大人の事情”が会計ソフト選定の場にも波及しているようなケースは、わずかながらもまだあるようです。これは、経理実務担当者の使い勝手や自社の業種、規模などを勘案して最適なものを選定する、といった正攻法によるものではなく、付き合いの関係を優先してしまうケースです。

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大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道

経理スタッフは「定型的な事務作業をこなす人材」と捉えられがち。彼ら彼女へ向けられる仕事の効率化と言えば、“仕訳の自動化”“仕事を属人化させない”といった、表面上の作業の改善を求めるものばかりだ。しかし、本来は経理=経営管理者なのだ。経理の能力を伸ばし、経営のために力を借りるにはどうしたらよいのか。様々な業種の経理畑を歩み、一担当者から管理職まで様々な立場を経験した著者が、経理環境改善のコンサルタントとして、実務者・管理者への支援活動に当たる中で感じたことをまとめる。

「大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道」

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