旅は、人生を動かすもっとも手っ取り早い方法である
作家
経営コンサルタント、投資家を経て、育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」「ライフワーク」「ワクワクする生き方」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は3500万ダウンロードを突破。著書は、100万部を突破した『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房)など、著書は130冊以上、累計発行部数は700万部を突破している。2017年にはアメリカの出版社Simon & Schuster社と契約。初の英語での書下ろしになる著書はヨーロッパ、アジアなど世界25ヵ国以上の国で発売されることが決まっている。(Photo by 森藤ヒサシ)
本田:僕は『大富豪からの手紙』の中で、「旅に出ること」を勧めています。旅は、世の中を理解したり、人生を動かすもっとも手っ取り早い方法だと思ってます。ばななさんと、奥平亜美衣さんの対談本、『自分を愛すると夢は叶う』(マキノ出版)の中にも、「旅の効能」について書かれてありましたが、ばななさんにとって「旅」はどういうものですか?
吉本:いろいろな国に出かけていますが、仕事で行くことが多いので、自由気ままな旅行はなかなかできないですね。たいていは日程が限られていますから、せいぜい、仕事のあとに、2、3日、観光をする程度ですね。
本田:僕の勝手なイメージですけど、ばななさんのような世界的な作家だと、フランスやイタリアの古城に1ヵ月くらい滞在して、ワインを飲みながら執筆しているような感じがします(笑)。海外のセレブや貴族から「好きなだけ滞在していいよ」なんて誘われることもあるのではないでしょうか?
吉本:たしかに、「いくらでも、好きなだけ泊まっていいよ」と誘われたこともありましたけど(笑)、私はすぐに日本に帰っちゃいました。私は動物が大好きだから、早く家に帰って、うちの動物たちに会いたい(笑)。
本田:海外を舞台にした小説は、それほどお書きになっていないですよね。何か理由があるのですか?イタリアを舞台にした「大河ドラマ」とか、ばななさんなら書けそうな気がします。
吉本:海外を舞台にした作品は、ちょいちょい、書いたくらいですね。私の場合、「主人公にとってのリアリティー」を綿密に詰めていきたいと思っているんです。「海外旅行をしたことがある」のと、「外国に住んでいる」のは、感覚的にもずいぶん違うので、日本にいる私が海外を舞台にした大河ドラマを書くのは、「主人公にとってのリアリティー」を考えた場合に、どうなのかな、という気がします。
本田:「自分の人生を見直す」ために旅をするのは、若い人にとって、有効だと思いますか?
吉本:価値観が違うところに行くのは、とてもいいことだと思います。私も『大富豪からの手紙』の主人公の敬(ケイ)くんのように、学生時代にもっと旅をしておけばよかったと、心から思いますね。やっぱり日本にいると、何でも、小さく小さく、まとまっちゃいますから。
ただ、スリルを求めて、あえて危険な場所に行くというのは、自分の魂を冒涜するような気がして、違う気がする。そうではなくて、「自分」というものをきちんと持ったうえで、「新しいことを体験する」のがいいと思います。
(第3回に続く)