翌朝6時ちょうどになると、まるで目覚まし時計のように、おもむろに私の体の上を横切ってゆく。
結構重い(うちの猫は体重5キロ!)。
私のみぞおちに猫の細い脚が入り込み、体重をかけられる……これがけっこう痛い!

時には、猫の視線で起こされる。
いつの間にか顔のほうにやってきて、人の寝顔に見入る。
その目力たるや、凄まじい。
極めつけは、冷たい鼻を人の唇に押し付けてくる。
この目覚ましのモーニングキスは効く!

飛び起きてエサをやると、次の日は5分前に同じテを使って起こしにくる。
その次の日は10分前。
「やればできるではないか」とばかりに、猫は食事を要求する時間を早めてくる。
 猫のこの習性は、どの国でも同じようだ。

吉田裕美(よしだ・ゆみ)
東京都生まれ。東京学芸大学教育学部初等教育国語科卒。在学中に文部省給費にてパリINALCO(国立東洋言語文化研究所)留学。リサンス(大学卒業資格)取得。日仏両国で日本語を教える傍ら翻訳、通訳に携わる。地域猫ボランティア活動に関わり、これまで多数の猫を預かり里親へ橋渡ししてきた。現在、2匹の愛猫とともに暮らしている。