「なぜか会話がはずむ人」が毎日自然にやっている“たった1つの習慣”とは?
「読むのが速い人の秘密」がわかった!
読書中、私たちは文字を脳内で“音”に変換し、その音で理解しています。ポイントは「音の理解速度」。ここを鍛えれば、読書は一気に変わります。本連載は、耳から脳を鍛え、速読力を高める「速聴トレーニング」をお伝えするものです。脳を鍛えることで、理解力、記憶力、集中力もアップします。そのノウハウをまとめた『耳を鍛えて4倍速読』の刊行を記念し、本記事を配信します。

「なぜか会話がはずむ人」が毎日自然にやっている“たった1つの習慣”とは?Photo: Adobe Stock

「なぜか会話がはずむ人」がやっている“たった1つの習慣”とは?

 本日は「コミュニケーション上手な人がやっていること」というテーマでお話しします。

 結論から言うと、今日いちばん伝えたいのは、コミュニケーションを成立させるには配慮が必要だ、ということです。そして、その前提として押さえておきたいのが、ノウハウは枝葉であり、悩みの根源は幹にある、という考え方です。

「聞き上手になろう」ではダメな理由

 コミュニケーション本には「聞き上手になろう」「質問を増やそう」といった方法論がほぼ必ず書かれています。もちろん、それらが役に立つ場面はあります。ただ、本当に悩んでいる人ほど、それらを実行しても手応えが薄いことが多い。もし質問を増やすだけで苦手意識が解消するのなら、そもそもそれほど困っていない可能性が高いでしょう。多くの場合、問題は枝葉ではなく、もっと根の部分にあります。

なぜか会話がはずむ「たった1つの習慣」

 では、その根の部分とは何か。私は、コミュニケーションの原点は「成立させるための配慮」だと思っています。ここで言う配慮は、単なる優しさというよりも、相手に合わせて成立する形に調整することです。会話が成立するかどうかは、どちらかが相手に合わせるかどうかで決まる。そして重要なのは、合わせる側が、コミュニケーションの裁量を握っている、という点です。

 たとえば、幼稚園児とプロサッカー選手がいて、サッカーボールがあるとします。プロが幼稚園児の実力に合わせてパスを出したり、遊びとして成立するテンポで進めたりすれば、サッカーという遊びは成り立ちます。しかし、プロが一切調整せず、本気のスピードで勝負をしてしまえば、おそらく遊びとして成立しません。

 野球のキャッチボールも同じです。グローブとボールがあれば形式的には可能ですが、成立させるには、投げる側が球速やコースを調整し、相手が受け取れる形に合わせる必要があります。会話も同様で、成立の鍵は「合わせる」ことにあります。

 たとえばITの分野で働く人が、「プロダクト」「プライオリティ」などの用語をそのまま使って説明したとします。相手が小学生なら、言葉の意味が分からず、会話は途中で止まってしまうでしょう。しかし「うちの会社が出している商品」「今いちばん大事な順番」といった言い換えをすれば、同じ内容でも伝わる可能性が高くなります。つまり、成立するかどうかの決定権を持っているのは、知識や言葉の水準を調整できる側なのです。

好奇心の重要性

 ただ、合わせる側ではない人、つまり知識や前提が少ない側にも、会話を成立させるための有効な手段がひとつあります。それが好奇心です。分からない言葉が出てきたときに「それはどういう意味ですか」と尋ねる。そうすると相手は説明をし、会話が前に進む。一般に言われる「質問を増やす」というノウハウが機能するのは、質問が好奇心の役割を代替するからだと考えています。

 そして、ここからが少し興味深い点なのですが、この好奇心は、知識が増えれば増えるほど湧きやすい性質があります。私はこれを「知の球体」の話としてよく説明します。自分が理解し、説明できる知識(既知)が増えるほど、その周囲の未知に触れる面積が広がる。風船が膨らむと表面積が増え、外側に触れられる領域が広がるのと同じです。だからこそ、学べば学ぶほど「これも気になる」「あれも気になる」という対象が増えていきます。結果として、知識を持つ人ほど好奇心が生まれやすく、会話の成立に向けて動ける場面が増えるのです。

 コミュニケーションの方法論を学ぶことも大切ですが、それだけに偏るよりも、さまざまな分野を学んで知識を増やしたほうが、結果としてコミュニケーションは上達しやすいといえます。知識が増えれば、相手に合わせて言葉を選べる幅が広がり、相手の話にも関心を持ちやすくなり、会話の成立に必要な条件が整っていきます。私自身、以前より人の話を聞くことが楽になったり、初対面の人とも話しやすくなったりした自覚がありますが、それは話術だけを磨いたというより、知識が増えて「合わせられる」場面が増えたことが大きいと思っています。

(本原稿は『耳を鍛えて4倍速読』の一部抜粋・加筆を行ったものです)