もっとも、来年度の消費税増税までに日銀の物価目標が達成されることはなさそうだから、日銀の事情に配慮する必要はないといった声も聞こえてきそうだ。

 話を元に戻すが、実質的に消費増税を転嫁する時期をずらしたとしても、形式的にはきちんと転嫁するというやり方もありだ。

 例えば、消費増税の半年前に「人件費高騰を理由とした2%の値上げ」を行ない、増税後に「消費税は2%増税になったが、コスト削減努力で定価を2%カットできたので値札は改定しない」といった形だ。

 あるいは、消費増税のタイミングでそうしておいて、半年後に「人件費高騰を理由とした2%の値上げ」をしてもいいだろう。

増税後に値下げの可能性も大きく
前後どちらに買うべきか検討すべき

 今回、転嫁の義務が残ったとしても、消費者として工夫の余地はある。

 駆け込み需要が大きいものとして、乗用車と住宅が重要だとされているが、いずれも消費税増税後に値下がりする可能性があるからだ。

 乗用車に関しては、パンフレット上は価格が一定で、消費税込みの価格が2%上がったとしても、売り手は駆け込み需要の最中には強気になり、増税後は弱気になるので、増税後に大きく値引きするといったことは十分に考えられる。住宅に関しても同じだ。

 そうだとすると、駆け込み需要で買うのと増税後に買うのとでは、実質的にどちらが得なの分からない。いずれも高額商品だから、しっかり検討して慎重に行動したいものだ。

 消費者が慎重に行動した結果として、駆け込み需要がならされれば、消費者個人にとってもマクロ経済にとってもいい影響が見込まれるので、大いに期待したいところだ。

(久留米大学商学部教授 塚崎公義)