神社とマンションがコラボ?
儲かった定借マンションはこれだ

 これだけ由緒正しく神聖な場所で、なぜ景観だけでも問題になりそうなマンションのような建物が建つのか。それは神社の「懐事情」にある。お賽銭だけではやっていけないのだ。敷地と建物の維持・管理・建て替えには多額のお金がかかる。それを捻出するために持つ、換金が可能なものは土地しかないのだ。

 その土地は手離せないからこそ、有効に活用しなければならない。幸い、これらの神社は立地がいい。前述の神社の最寄り駅は、上から原宿、西新宿、神楽坂となり、京都は誰もが知る観光の中心地である。そこでの資金の使い道は、社屋の建て替えのケースが多い。老朽化した建物は日本にはたくさんあり、年々増えている。しかし、建て替えるには原資が必要だ。そこで、定借マンションの出番になる。

 神社以外の定借マンションの事例では、大使館や病院や会員制社交クラブなどもある。これに加えて、役所の事例が出てきた。渋谷区役所がそれだ。役所の主な収入は地方税で、住民税と固定資産税が主になる。住民税は地方行政の貴重な財源であるが、ふるさと納税の対象でもある。

 都市部の住民税の減収は著しい。役所庁舎は老朽化したものの、財源が不足して建て替えがなかなかできない行政は多い。しかし、役所の立地はたいていその地域の中心地にある。財務状態が悪くて一等地を持っているという状況が神社などと同じと考えると、今後は役所庁舎の建て替えが定借マンション併設で増える可能性がある。

 ここまで述べたような事情により、過去に新築価格から値上がった定借マンションは、実はたくさんある。その中でも代表的なものは「シティタワー品川」だろう。敷地の持ち主は東京都で、販売価格を都議会で決めてから相場が上昇し、販売時には格安になってしまった。

 売主となった住友不動産は、他の大規模タワーマンションを売っていた関係で、ぎりぎりまで引っ張って販売に到った。モデルルームもなく写真1枚さえもない殺風景なホームページでも、その価格の安さで総戸数828戸の平均倍率が17.65倍になり(申込者が1万4614人)、購入者は5年間自己居住することが条件になった。