アンガス・マディソン著(東洋経済新報社/2000年)
経済・社会が大きな転換点を迎えようとするとき、私たちが頼るべき“導きの糸”は、最先端の知識とは限らない。より俯瞰的に、長期にわたる変化を振り返ることが、未来への大きなヒントを与えてくれることもあろう。
本書は、世界経済の成長期が始まる19世紀前半以降における世界各国の成長をデータによって語らせる。例えば、江戸時代後期から1980年代のバブル期が終わるまで、日本経済は同時代の各国や現在の日本と比較して、どの程度豊かだったのだろうか。経済力を知ることにより、さまざまな事件・戦争への理解が大きく深まる。詳細な解説と膨大なデータから成る本書は、再読したいと同時に、歴史に思いをはせる際に書架にあってほしい一冊でもある。
(明治大学政治経済学部准教授 飯田泰之)