第3の超景気 ゴールデン・サイクルで読み解く2025年
『第3の超景気 ゴールデン・サイクルで読み解く2025年』
嶋中雄二著(日本経済新聞出版社/1700円)

 景気の回復局面が始まったのは2012年12月だった。その後、17年9月には、高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目となった。現在、日本の景気循環に対する関心が高まっている。

 本書は、11年を大底に超長期と長期の景気循環が同時に上昇する超景気が始まっているとし、いったん21~22年に厳しい景気後退に見舞われるも、24~25年には再び好景気がやって来ると大胆にも予測しているところが面白い。

 第1章では、少々硬派な複合循環論の解説がなされる。第2章~第5章では、日本の景気を短期循環、中期循環、長期循環、超長期循環の四つの循環として取り上げ、それぞれの周期に基づいて、今後の日本経済の予測をしている。

 第6章では、こうした複合循環を米国や中国の経済にも適用し、それぞれの予測を展開する。終章では、これから25年までの日本経済の軌道が“第3の歴史的勃興期”に当たると論じている。

 特に、第2章の「最長景気達成も、五輪後は21年にかけ深い後退に」という解説には臨場感があり、大変興味深い。19年は元号の変更やG20サミットなどがある歴史的な年であり、アベノミクスの好景気は19年10月の消費税率引き上げまで続き、戦後最長の景気拡大局面となるとしている。

 第3章では、設備投資の波とされるジュグラー・サイクルが18年にピークを迎えるが、23年には底入れし、リニア中央新幹線の開通年となる27年にかけて上昇するとして、9・6年周期の日本経済の中期循環シナリオから見た主張が展開される。第4章では、東京五輪、大阪万博に向けて上昇する建設投資の波を丁寧に論じている。

 著者は、これらを歴史的な2大イベントと捉えている。そのリバイバルに向けて、東京と大阪を中心に盛り上がる25・6年周期の建設投資の長期循環に焦点を当て、こうしたクズネッツ・サイクルが25年まで上昇すると説く。

 評者が興味深く読んだのは、第5章でインフラ投資の波が56年ぶりの上昇軌道にあり、これが二つの東京五輪と二つの大阪万博をつなぐことで、超長期の循環がダイナミックな軌道を描くとする点だ。その後、この複合循環の頂点に立つコンドラチェフ・サイクルが28年まで上昇するため、土台のしっかりした先行きの展望を描けると解説する部分である。

 なお補論では、循環論批判への反論や、経済学説や経済政策も超長期循環に応じて交代することなども概観する。複合循環論の基礎的な知識を身に付けたい初心者には、格好の入門書になろう。

(選・評/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト 永濱利廣)