「人格否定」は、絶対にNG

部下がレポートの提出期限を守らなかったときの注意の仕方です。

×「いつも期限を守らないのは、君が人間としてだらしないからだ。周りの迷惑も考えろ」

〇「期限を守らないと、どれだけ仕事ができても社会人としての信頼を失うぞ。何かトラブルでもあったのか?」

ポイントは、「人格否定」はNGだということです。

×の例は、提出期限を守らないという1つのことを取り上げて、その人の人としての人格を「だらしない」という言葉で全否定してしまっています。

無意識に相手の人格を否定する言葉は、知らず知らずの内に使っている場合もあり、注意が必要です。

これでは、叱られた相手は期限を守らなかったことを怒られたのではなく、自分と言う人間を全否定されたと感じます。
これがストレスになり、積もり積もるとパワハラと感じるのです。

逆に〇の例は、期限を守らなかったらどのようなデメリットがあるのかを、相手の立場で伝えています。人格否定ではなく「期限を守らなかったこと」という事実にに対する指摘になっているのがポイントです。

その上で、期限を守れなかった理由に対して、相手に何かトラブルがあったのかも?とこれも相手の立場に立って気に掛けているのです。

このように言われたら、指摘された部下も、期限を守れなかった自分の非を認めて悪かったと思うのではないでしょうか?

しかも、重要なポイントは、このコメントも15秒以内で伝えられていることです。
いくら相手のことを思いやったとしても、部下にとってはクドクド、じくじくと長い時間説教をされるのは苦痛でしかありません。

端的に15秒で伝えることで、相手へストレスを感じさせることもなく、自省に繋げるのです。

人格の否定ではなく、「起こった出来事への指摘」を「相手の立場に立って」、「15秒で伝える」。

これができれば、あなたも信頼される上司になれるはずです。

パワハラにならない部下へのうまい伝え方羽田 徹(はだ とおる)
話し方コンサルタント・トップ講師プロデューサー 株式会社web-school.tv代表取締役
大学生の頃よりラジオDJを始め、1998年に大阪人気No.1のFM802主催の新人DJオーディションに合格。その後FM愛知や文化放送でラジオオDJとして10年間活動。番組降板により挫折し不動産投資会社の営業に転職。話し方を武器にさらに営業力を磨き、2年目にトップ営業になる。2008年にはその営業力が認められ倒産寸前だったロープライス眼鏡会社の取締役営業本部長に就任し、当時64店舗から110店舗への躍進を支える。またインターネットカフェ最大手にて社外取締役を歴任。2012年、ラジオDJとしての話し方の技術、営業力、組織マネジメント力、経営経験などを生かし、組織人事コンサルタント会社のリンクアンドモチベーションにてナビゲーター(研修講師)、ファシリテーターとして活動。大手企業からベンチャーまで年間100件以上登壇、延べ2万人以上の人たちと接する。研修講師の採用や育成の責任者も兼任。新人やマネジメント研修、エグゼクティブへのスピーチ・プレゼン指導、組織活性ワークショップ、働き方改革の為のロジカルシンキング講座などを得意とする。自身の経験から「学びでこの世界を豊かにする」を理念として活動中。著書に『ビジネスマンのためのスピーチ上手になれる本』(同文舘出版)がある。社会人のための「話し方動画教室オンライン」運営。