家電に通信機能を搭載する動きは他メーカーでも盛んだが、中には「本当に要るの?」と思うものも多い。しかし、ホットクックの通信機能はなかなか面白い。

 例えば、前述の予約機能も通信機能を備えた機種ならば、帰宅時間が遅くなりそうなときは、仕上がり時間をスマホから変更できる。また、本体の液晶画面からインターネット上にあるメニューも選べるから、今後、メニューが増えても、対応可能だ。

 何より、シャープ側にも利用実態のデータを収集できるというメリットがある。すでに、開発者たちを驚かせたことがあった。

 予約機能は当初、「朝予約して帰宅する時間に出来上がっている」ために使用されることを想定していた。ところが、開発側の予想に反して「夜に予約して朝起きたら温かいものが食べられる」という目的のための予約が多かったという。しかも、その場合には「野菜などの具がたくさん入ったみそ汁」を作る利用者が多いという。

 どのような家族構成の利用者が、いつ、どのようなものを食べるのかというデータが、今後も集まってくれば、ホットクックの次世代機の開発や、他のビジネスの発案にもつながりそうだ。

 現在、ヒットの波に乗って目指すのは利用者層の拡大だ。これまでのメーン層である20~40代から高齢層への普及を図っている。

 高齢者には「家電は白」という意識が強い。そこで、これまでは赤の機種だけだったが、最新版では白も用意した。同様に、ふたを閉じたまま全てが仕上がることに不安を覚えるという高齢者のために、最新版では仕上がり直前にふたを開けてかき混ぜられるような機能も搭載した。

「新必需品として一家に一台備えていただきたい」。吉田は炊飯器のようにホットクックが普及することを目指していく。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」編集部 清水量介)

【開発メモ】独特な「まぜ技ユニット」
 要は、温度調節と「まぜ技ユニット」の負荷のコントロール。蓋の内側に装着された、まぜ技ユニットは通常は棒がたたまれているが(左)、かき混ぜるタイミングになると、開く(右)。開発陣は肉じゃがから始まり、数百種類の料理を試した。今や330通りのパターンを覚えている。無水調理でうま味が凝縮し、野菜などの栄養分も多く残る。

ヘルシオ ホットクック