セクハラを指摘された時に言ってはいけないNGワードとは

 セクハラにもさまざまなグレーゾーンがある。たとえば、「女性には、残業の少ない部署に入ってもらったほうがいいんじゃないか」という発言。これを差別と捉える女性もいれば、育児などの理由で歓迎する女性もいるかと思うが、基本的にはNGである。女性でも残業はウェルカムだという人もいるし、男性でも残業は避けたい人もいるだろう。残業の是非は性別で判断されるべきではないのだ。

 また、打ち上げなどでカラオケに行き、デュエットで盛り上がった場合。カラオケでデュエットという行為そのものは問題にはならないだろう。ここに、他の条件が加わるとNGになる場合がある。たとえば、身体に手を回したり、相手が嫌がっているのに無理やりデュエットさせられたら、それはセクハラとなる。

 さらに、こういったパワハラ・セクハラが問題視された時、決定的にNGなのが「イヤならイヤと言えばいいのに」というセリフである。裁判でもこの一言で致命的に立場が悪くなると著者はいう。そもそも今の世の中、立場の低い人が、優位な立場にいる人に「ノー」とは言いにくい現実がある(日大アメフト問題をはじめ、世間を騒がせるパワハラの背景だ)。それでも、「イヤならイヤと言えばいいのに」と言ってしまうのは、自分が優位な立場にあるという自覚や配慮なく接しているからである。つまり、「相手がイヤだったとしてもイヤとは言いにくいだろう」という認識が欠けてしまっているのだ。

 これは同時に、自分がハラスメントしたかどうかも判断できない状態であることも意味している。その先、裁判などでいくら身の潔白を訴えたところで、「あなたの主張は、今後聞く価値がありません」と判断されてしまうのだ。まずは、下位者が上位者に対して、イヤでも「イヤ」と言いにくい時代になっているという認識を忘れずに持つことが重要である。

「エネルギッシュな部下を見習いなさい」は危険!?

 著者が、研修や講演でメンタルヘルスやハラスメントの話をすると、100パーセント「部下を甘やかせというのか」という反論があるというが、これもよくある誤解である。

 メンタルヘルス対策を「甘やかし」だと感じてしまう人は、発想を逆転させてみてほしい。そういった認識のある上司が強い言葉を使うから、部下のメンタルが不調をきたしたり心が折れたりするのである。逆にメンタルヘルスケアを十分にすれば、もっと強く言うことができるのだ。部下に苦手を克服してほしい、もっとチャレンジしてほしいと願えばこそ、上司はメンタルヘルスケアに関心を持つべきなのである。