“ななつ星の大改装”で明かされる?
このプロジェクトと夢のほんとうの凄み
唐池 柿右衛門さんの作品は、今右衛門さんのもの、源右衛門さんのものとともに、ななつ星に収められ、洗面鉢以外にも花を描いたプレートや吉祥の印である蜂の巣を象ったオブジェなども車両を飾っています。
水戸岡 あの方はユーモアもとてもお好きな方で、白磁でシャツボタン型のオブジェも寄越してくださいました。
「これを床にはめておくと、お客さまが拾おうとするから」と(笑)、そのあたりの悪戯心はちょっと唐池さんと通ずるものがありますね。
唐池 そんな人間国宝と比べられるとは、恐れ入ります(笑)。
水戸岡 じつは柿右衛門さんは、いまななつ星に配置されているもの以外にもいろんなものを作ってくださっているんですよね。
唐池 そうですね。じつは皆さんにお見せしていない作品がまだまだあります。今右衛門さんも源右衛門さんもそう。
水戸岡 担当編集者が気にしているので、ここでは私から聞きますが(笑)、先日共同通信の報道で伝えられた“ななつ星の大改装”とはいったいどういったイメージやスケジュールでお考えなのでしょう。
唐池 じつは先日、ななつ星の担当役員、担当部長陣から発議がありまして。ななつ星のサービスおよびスタッフの仕事の効率を踏まえて、ハード面・ソフト面ともに改善できるポイントについて、検討を始めたいと話があったんです。
水戸岡 『感動経営』中にもあった「サービスとコスト」の視点もあってのことでしょうか。
唐池 そうですね。詳しくは皆さんにはぜひ本編をお読みいただくこととして(笑)。自分たちでは高度なサービスを提供していると自己満足を高めているけれど、じつはお客さまに効果的に、“感動的”には届いていないサービスがあるんじゃないか。ななつ星のクルーたちと担当者たちはそう疑いだしたんですね。
水戸岡 確かに本にもそうありましたね。クリエイティブの仕事や高度なサービスほどそういった自己満足に陥りやすいと。
唐池 ある世界的な自動車会社では、生産ラインの効率化を参考に、オフィスのレイアウトもストップウォッチ片手にコピー機の位置から数メートル単位で検討を重ねると聞きます。そういうわけで……水戸岡センセイ、あなたの出番でもあります。
水戸岡 そう来ると思ってました……(苦笑)。
唐池 改装となるとおそらく、効率的なレイアウト変更をはじめ機能面の見直しだけではきっと気がすまなくなってくるでしょう。私が、ですけど(笑)。
水戸岡 だから、コンセプトにも変化や進化が及ぶような車両デザインの刷新が求められると……。
唐池 ご明答。さすがです。
水戸岡 うわー(笑)……私は、そんなアイデアやイメージ、そして夢が次々と湧いてくる唐池さんが、さらに違うビジネスのステージに飛び出していったらどんなに面白かろうと思っているんですよ。
唐池 またその話ですか(笑)。それはここではやめておいてください。
水戸岡 いや、きっと違うステージでは、違う唐池さんの能力や才能がまた……。
唐池 うーん。前著で「私はカラオケのレパートリーが2000曲」と言い放ってから、その内訳を教えろと迫る社員が何人かいましてね。ですから、とにかく地に足の着いたこと以外、私は当分言いません(笑)。
水戸岡 ではまた次の機会に(笑)。
おふたりの特別対談は以上です。
以上ですが……おそらくさらにご活躍の舞台を広げるであろうおふたりの動向にぜひ今後もご注目ください。