白川方明・前日本銀行総裁が、2013年3月に退任後、5年半の沈黙を破り、バブル期やバブル崩壊、リーマンショックの際など、日銀時代の経験や中央銀行の役割について書いた本が話題になっている。
『中央銀行―― セントラルバンカーの経験した39年』(東洋経済新報社刊)は、700ページになるが、総裁当時に日銀が公表した論文などからの引用も多く、突っ込みどころも満載だ。
白川前総裁については、「2%インフレ目標」を金融政策だけで達成するのは困難、と総裁時代からしきりに述べていたことで、現状を的確に「予言」したと評価する向きもあれば、リーマンショック後の「デフレ脱却」を妨げた戦犯と捉える人もいる。
白川時代の日銀の金融政策をどう評価するのが正しいのか。筆者の評価は、ハッキリ言えば「デフレ脱却を妨げた戦犯」である。