嗅覚のある医療産業の世界メガたちが、再生医療については投資の優先順位を低く位置付けている。そんなかで日系大手テルモが勝負を仕掛けている。『週刊ダイヤモンド』7月21日号の第1特集「製薬 電機 IT/医療産業エリート大争奪戦」の拡大版として、産業のキーマンたちのインタビューを特別連載でお届けする。第8回はテルモの粕川博明CTO(チーフテクノロジーオフィサー)に聞く。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 臼井真粧美)

――医薬品で産業を振り返ると、外資勢が抗体医薬などバイオ医薬品のトレンドをものにして、日本勢は出遅れました。嗅覚のある外資の世界メガたちが、再生医療については時期尚早だからかビジネス性を見込んでいないのか、総じて投資の優先順位を低く位置付けています。対して、テルモは再生医療に力を入れています。逆張りにも映りますが、勝算は?

粕川博明・テルモCTO(チーフテクノロジーオフィサー) Photo by Masato Kato

 二つの方向性があって、一つがBtoBです。バイオ医薬品に関しても、製薬会社は販売するときに薬を注射剤に詰めたりパッケージ化する必要があって、うちはその技術や器具を持っているのでビジネスにしています。再生医療でも工業化のプロセスを担っていきます。

――再生医療で使う細胞培養装置、血液から細胞を分離する装置などを手掛けており、それを提供するわけですね。

 血中の細胞を用いた治療では、これらの装置で製造プロセスを作るビジネスを実際に始めています。「CAR-T細胞(キメラ抗原受容体T細胞)療法」で。

――CAR-T細胞療法に絡んでいたんですか!患者の血液から採った免疫細胞にがんを発見しやすくする遺伝子操作を加えて培養し再び患者に戻すこの治療法は、最先端のがん免疫療法として大注目されています。

 細胞の採取、分離、洗浄、培養、濃縮、製剤化に使われるシステムなど必要なプロセスを持っていますから。

――治療法そのものを開発した企業の名が世界で轟く裏で、テルモもビジネスをしていた――。