2019年4月に罰則つき残業規制がスタートすることもあり、「働き方改革」は喫緊の課題となっている。そんななか、プレッシャーが増しているのがプレイングマネジャー。個人目標とチーム目標を課せられるうえに、上層部からは「残業削減」を求められ、現場からは「仕事は増えてるのに…」と反発を受ける。そこで、1000社を超える企業で「残業削減」「残業ゼロ」を実現してきた小室淑恵さんに『プレイングマネジャー「残業ゼロ」の仕事術』をまとめていただいた。本連載では、本書のなかから、プレイングマネジャーが、自分もチームも疲弊せずに成果をあげるノウハウをお伝えしていく。

無口なメンバーの「本音」を引き出し、<br />会議が自然と盛り上がる「すごく簡単な方法」

「付箋ワーク」で全員が発言できる

 前回ご紹介した「カエル会議」(チームの働き方を変えるために行う、メンバー全員参加の会議)では、付箋を使ってディスカッションすることをおすすめしています(私たちは「付箋ワーク」と呼んでいます)。「活発なディスカッション」を実現するとともに、「メンバーの発言量」を均等にする(グーグルが明らかにした生産性の高いチームの条件。詳しくは連載第8回)ために最も効果的な方法だからです。

 たとえば、「チームの仕事のやり方で変えたいことは何か?」というテーマでディスカッションを始めるときに、「皆さん、自由に意見を言ってください」と呼びかけるとどうなるでしょうか? シーンと黙り込む時間が長く続いてディスカッションがなかなか盛り上がらないことが多いですし、“声の大きな人”が話し続けてディスカッションを制圧してしまうようなこともあります。それでは、有意義な会議にすることはできません。

 もちろん、マネジャーがひとりずつ指名して発言をうながす方法もありますが、この場合には、どうしても最初の発言者の意見に引きずられたり、“声の大きな人”の発言に影響を受けたりする人が出てきやすいという問題が生じます。

 ところが、付箋を使えば、これらの問題を一挙に解決することができます。
「チームの仕事のやり方で変えたいことについて、5分間で、皆さんの意見をできるだけたくさん付箋に書いてください」と呼びかければ、メンバーは黙々と付箋に自分の意見を書いてくれるでしょう。そして、時間がきたら、一人ひとり順番に、書いた付箋を1枚ずつ示しながら読み上げてもらいます。

 こうすれば、シーンとすることもありませんし、「メンバーの発言量」も均等にしやすいでしょう。しかも、周囲と相談せずに書きますから、特定の意見に影響を受けることもありません。付箋は、有意義な会議を実現する非常に優れた「武器」なのです。